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「もしかして家から作ってきたんっすか？」
野村くんが素直に感動してくれた。
「うん、朝時間あったから」
「いただきます！」
「あ、高菜まいてるのはおかかで、白ごまが鮭で、海苔が和風ツナ」
「何種類作ってきたの？」
石塚くんが一つ選んだ。
「それ、大葉としらすだよ」
「いい奥さんになれそう、……いいなあ、旦那さん」
高杉くんが意味深に言ってきた。
「結婚式には呼ぶよ、高杉くん」
「うわー振られた」
「わかんないよ、旦那さんとして横にいるかもしれないでしょ」
「ああ、なるほど」
先生が苦笑いしながら大葉としらすを見てぱくっと食べた。
「ん？なにこれ？出汁の味がきいてる」
「混ぜただけです、しらすだけだと味が薄いから」
「……へえ」
「お肉も食ってくださいよ！」
野村くんがトングでみんなのお皿にお肉を乗せて行く。
「くっそ、最高だな、海でバーベキュー」
石塚くんが初めて見るくらいさわやかにほほ笑んだ。
「海の威力ってすごいね、石塚くんがまるで引きこもりには見えない」
「Aちゃんだって海をバックに笑ってたら上代文学オタクには見えない」
「上代文学オタク……に見えてた？」
「違うの？そうでしょ」
「……」
手に持った炭酸飲料を飲みながら軽口を叩きあって、何気なく周りを見渡したら、飯島さんと先生がくっついて話してる。
「……」
「A、車に忘れ物……ついてきて」
関矢くんが私を腕を掴んだ。
先生を見たら、先生は海の方を見ながら飯島さんと話していて、こっちに気づかない。
「いいよ」
「ありがとう、お菓子の入ってる袋とクーラーボックス一つおろすの忘れてて」
「……うん」
何か変だな、と思いながらもついていく。
「A」
「ん？」
「先生、やっぱり飯島さんに、Aと同じような行動とってるみたい」
「……え」
「みんなの前では冷たくしたり、二人きりになったら優しかったり」
「ふたりきり」
「うん。知らない？二人で飯食ったとか言ってた」
「しらない……」
「Aと先生、二人、最近ギクシャクしてるだろ、喧嘩でもした？」
「……喧嘩とかじゃない、でもなんとなく、もう、ダメな感じはするけど……」
「そっか」
関矢くんが薄く笑った。
「もう、飯島さんにシフトチェンジしちゃったかな」
「……そういうんじゃない、誰かに心変わりしたわけじゃないと思う」
「……」
「そういう感じじゃないんだよ」
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年8月4日 6時
