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夏休みだというのに先生は、学校へ行った。
私も郵便物をとりに実家に戻って、ポストを覗く。
「あ」
内定通知、届いてる。
電話で内定もらってたけど、内定承諾書をみると、ああ、社会人になるのかぁ、って焦燥感にかられる。
どうしよう。
私、どこがあってますか？って先生に相談もできずにいたけど。
松本さんに相談乗ってもらおうかなぁ。
松本さん、ああ見えて不動産の管理とかオーナーとかやっててカフェは趣味だし。
智さんだって本業は別にあるみたいだった。
教えてくれないけど。
意外と陶芸家とかかも。
郵便物と着替えを少し持って、駅前まで戻る。
晩御飯、どうしようかな。
そう思いながらも、かばんの中の封筒がずしりと重く感じる。
内定をいくつか貰うとお断りのご挨拶にも行かなきゃいけないのが憂鬱だ。
一番に相談乗ってもらえるはずの家族は私のことなんて無関心だし、友達はまた決まってなくて焦ってるのにこの内定3つのうちどれがいいと思う？なんて絶対言えない。
先生に相談乗ってもらおうかな。
先生に電話してみた。
気づいたとき、もしお手隙なら折り返しかけてくれるといいな、なんて思ってたのにすぐに電話に出てくれた。
「先生、今どちらですか？」
「松本くんのとこ」
「あ！今からそっち行きます！」
「……え」
「就職のこと松本さんに相談したくて！ちょうどいいや！」
「来なくていい！まって」
先生がちょっと慌ててる。
誰かと話してるみたいだ。
「……どういうことですか？」
「あーもお、仕方ねーな……最速で来い、15分で来い」
「え！」
ちょうど駅にいたから15分でいけるけど！
普通なら30分かかるよ!
慌てて来た電車に飛び乗って、バイト先に向かう。
15分って何。
あ、先生のお昼の時間？
あんな自由なのに？
バイト先まで走ってお店に飛び込んだら、松本さんがいらっしゃい、って苦笑いして、ゆかりさんが私を見て破顔した。
「Aちゃん、久しぶり！」
「ゆかりさん！髪型変わった！」
「ちょっと切ってストレートに戻しちゃった」
「似合ってる！色も可愛い」
「これミルクティ色なのよ！」
ちょっと女子トークしながら、先生を探して店内をぐるりと見渡す。
「翔くん、愛しのAちゃんきたよー！」
「あ、こら！馬鹿！空気読めよ！」
「そっか」
先生が誰かと一緒にいる。
その人がゆっくりと、振り向いた。
「……お父さん？」
かばんがドサッと落ちた。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年8月4日 6時
