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先生が苦笑した。
「心を入れ替えた理由は？」
「ある人に、大嫌いと言われました」
「誰に？」
言ってもいいかな。
いいよね？
先生の顔をじっと見上げる。
「ん？」
「飯島さん……」
「ふ、」
先生が、鼻で笑った。
「……あいつね」
「……なんですか？」
「お前に似てる」
「……」
今の言い方嫌だった。
けど、先生言ってくれた。
ヤキモチ焼いて泣き叫んでも、いいって。
見てからウザいか決めるって。
嫌だ、ってこと伝えていいのよね？
「じゃあ、私も就職して先生に似た人探して優しくしてもらいます！」
「は？」
「もっと年が近くて！先生より優しいのに先生に似てる人！」
先生が、んんん？って眉間にシワを寄せた。
「なんでそんな話になった？」
「先生、飯島さん気に入ってるんでしょ！ホントは浮気してるんでしょ！」
先生が、しばらく考えて、口を押さえてぶほっ！と吹き出した。
「お前に似てる奴なんてお前の偽物じゃん！それならもっと素直で可愛らしい奴選ぶって！」
「……は？浮気しないって言ったくせに！」
「浮気するくらいなら本読んでる方が楽しいだろ！何のためにわざわざ馬鹿女の為に時間を裂かなきゃいけねーんだよ！」
「賢い女なら浮気するんですか！」
「だから言っただろ、賢い女は俺のこと嫌いなんだって！」
先生が怒ってる私を見て、ずっとクスクス笑ってる。
「じゃあ飯島さんに特別扱いしないで！」
「してねーよ！最近はお前らにも優しいだろ俺は！」
「先生らしくないのも嫌です！」
「俺のこと怖い怖いっていいながら何だよそれ！優しくしたら気持ちわりー、怖くしたら怖い！どうしろって？」
「……飯島さんだけになんだか様子が違うんです！私のときと同じみたいな……」
先生が、フフン、と笑った。
「先生？」
「そう見える？」
「……はい」
「ひとつ言っとく、あいつと仲良くなれなくて当然」
「……」
「俺のこと興味ないフリして、ゼミに入ってから、好意を隠さなくなった奴だから」
さっ、と血の気が引いた。
「え……」
「前さ、お前が俺の研究室にいて、告白してきた奴いたの覚えてる？」
「……えっと」
「ニニギの妻と父親と息子の名前を言えってやつ」
「あ！」
「ん？」
「ガッコでキスされた！」
「ぐほっ！」
先生がむせた。
「大丈夫ですか？」
「大丈夫」
「あの子ですか？」
「違う、あの子の友達」
へえ、そうなんだ。
じゃあ自分なら行けると思ったの？
ああ、やっぱり苦手。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年8月4日 6時
