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そっか。
知らないことばかり。
おにいちゃんのお父さんのことは、聞いちゃいけないのかなってなぜかそう思っていて、あまり詳しく聞いたことなかった。

でもどうしておばさん、急に教えてくれたんだろう、今まで教えてくれなかったのに。

「どうして教えてくれたの?」
「……申し訳ないと思うから。次聞かれた時はちゃんと答えようと思ってたのに、Aちゃん、あれっきりで……」
「なにが申し訳ないの?」
「Aちゃんのそういうところが好きだわ」

おばさんが、疲れたみたいに笑った。
「え?どういうこと?」
「あの子もそう。人を恨まない。自分の運命は恨んでも、誰も責めないのね」

おばさんの言いたいことがよくわかんない。
恨む?誰を?
でも、そんなことより。

「おにいちゃんに会えなくて寂しくないの?」
「寂しいなんて贅沢言えないわ」
「カオルさんにとられちゃうよ?」
「……」
「私はやだよ……おにいちゃんがただいま、っていう家は、ここだけであってほしい」

親戚って聞いても、なぜか全然ホッとしなかった。
30歳くらいの女のひと、なんて。

「寂しい?」
おばさんが、私に聞いた。
「寂しくて、死にそう……」
「……」
「会いたい」

私がおにいちゃんに恋をしてるって、おばさんは知ってるのかな。
おとうさんは、言ったのかな。わかんない。
けど、絶対今のでバレた。

「ごめんね」
おばさんが、もう一度そういった。

涙がこみあげてきて、慌ててふきんを持ってダイニングに行く。
「テーブル拭くね!」

ごしごし。
涙がぽた、っと落ちた。

でも、もう。

おにいちゃんは。
『もう、忘れて』って言った。

信じる努力と、待つ努力に比べれば、
忘れる努力の方が何倍も大変だよね。

絶望で手足が冷たくなる気がした。


おにいちゃんとして、心で大切に思うことはいいのかな。
それはいいよね。

だって、おにいちゃんだもん。


だけどおにいちゃんが、この人と結婚したいんだって女の人を連れてきて、
その人とほほ笑み合って、そして結婚して。
結婚式も家族の席で出て、赤ちゃんができて、パパになって。

それを一番近くで見るという拷問に耐えられる?

いつか痛みもやわらぐのかな。
この火傷の痕みたいに、痛みも感じなくなって、傷の存在すら忘れる日がくるのかな。

おにいちゃんはこの傷跡をみて、何を思うんだろう。

少しは胸が痛む?
それとも、黒歴史って苦笑いする?

どちらにしても、私にとってこの世は地獄だ。

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作者名:よしの | 作者ホームページ:   
作成日時:2016年5月31日 0時

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