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「……」
「Aさんに合わせます、今までそうしてきたし、それでいいっていうか……」
「……ああ！それで見るたびに色んな顔！」
「え？」
櫻井くんが、ん？って顔で私を見下ろす。
「どれがほんとよ！」
「何が！」
「ホントはどれよ！」
「何が！」
「どれがホントの櫻井くんなの！」
「さぁ？」
「計算してない素はどれかって聞いてるの！」
櫻井くんが首を傾げた。
「さぁ？3大欲求満たそうとしてる時じゃないですか？かっこつけてても素が出るよね？」
「どっちにしても可愛いのとかっこ良いのとごちゃまぜなのね！なんて贅沢な」
あ！心の声を声に出して言っちゃったよ！
「贅沢……、そんなこと思ってたんだ、へえー」
「……あわわ」
「Aさんはひたすら可愛い、チビなのに足踏ん張って怒ってるとことか。お菓子買ってあげたくなる感じ」
「……お菓子……」
「寝顔も見なきゃ……コンプリートしなきゃ」
今まで本気で怒ってる姿見て、可愛いなぁとか思われてたのかと思ったら脱力しかない。
嬉しいんだけど超複雑。
「上司の威厳……」
「俺以外にはちゃんとあるみたいだからご心配なく。二宮とかはAさんに対して触らぬ神に祟りなしって思ってるし」
「……触らぬ神……」
「相葉くんはAさん見たら今でもやべえ！って言ってシャキーン！ってなるし」
「……やべえ……？」
「着いた、ほら早く鍵だして！」
「あ、はい」
おっと。私なんでこの子のいいなりに。
何故か駆け足の櫻井くんに慌ててついていく。
だいぶ思い通りに操られてる。
部屋の前について鍵を差し込もうとしたら、鍵を奪われた。
「手、震えてる」
「……」
はずかしい！
櫻井くんが玄関のドアを開けて、どうぞ？って紳士っぽく促して、どうも、って中に入って鍵をしめた瞬間、後ろからがばあっ！と抱きしめられた！
くるかも！と思ってたけど早速来た！
「ちょっと！」
くるん、って簡単に回転させられて、
壁にどん、と押し付けられた。
押し返そうとした手は簡単にさばかれて、片手で頭の上にまとめられた。
早業！
顎クイきた！
ひゃあああ！と叫びたいのを堪えて見上げたら、櫻井くんが、ふふって笑ってデコピンした！
「こんな簡単だったんだ……」
「なにが……」
かすれた声が出た。
「残業中とか、会議室の準備してるときとか、エレベーターの中とか？」
「……」
「俺の頭の中でAさん、こんなカッコさせられてたんだよね」
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月29日 21時
