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ビールとかおつまみを適当に買って、歩いて帰る道。
となりに櫻井くん。
幸せ。
部屋散らかってるかもしれないという変な焦りもありつつ。
エントランスを抜けて、エレベーターに乗り込む。
部屋の前まで、まったく無言でついてくる櫻井くん。
「どうぞ。狭いし散らかってるけど」
「……」
「ちょっとまってて、洗濯物だけ片づける」
慌てて中に入って下着とか干してるピンチハンガーをそのままクローゼットのかごの中にえい！と突っ込んだ。
テーブルの上の雑誌とかお菓子とか、床にゴロンするとき用のクッションとか頭からフード付きのブランケットとか、化粧水とかをものすごいスピードで片づける。
いつもこのスピードでやるなら私の部屋毎日ピッカピカになるだろう。
起き抜け！って感じになってるベッドをちょっと整えて、玄関にどうぞ、って声をかける。
「おじゃまします……」
きょろきょろしていいのかな、いやでもじろじろ見るのはわるいしな、でもちょっと……いい匂いする！みたいな百面相を見て、こっちも百面相だ。
「その辺座って。こたつ置いたらソファが邪魔で捨てちゃったの。こたつみかんに憧れてー。こたつ片付けちゃったけど」
「……」
「どうせ寝に帰るだけの部屋なんだしってベッドセミダブルにしたから部屋狭いでしょ」
「……はあ」
「だから何にもないよ、女子力とかどこかに捨ててきた」
「……」
「でもね、トイレとバスはセパレートのやつ探して……狭いけどお風呂とトイレは別で」
「……」
「冷蔵庫も一人暮らしにしては大き目かも。炭酸水冷やさなきゃだし……」
私何一人でいっぱいしゃべってんだ。緊張しすぎだ。
だって！可愛い後輩をお持ち帰りしちゃったんだもん！
「……Aさん」
「慰めてくれるの？」
「……うん」
キリリ！
おおお。真剣な顔。
「じゃあ、飲むの付き合ってね。私も飲も」
「……」
ついてきたんだからなんかしゃべれよ後輩。
仕方なくＴＶつけてみた。
よくわかんないバラエティ。
「あ、お蕎麦食べる？」
「……あの、Aさん」
「はい？」
「あの……」
「なに？」
「俺……」
「……うん」
なんだ。どきどき。
「……やっぱり、ビール、いただきます」
「……うん。ちょっとまって」
グラスを渡して、缶ビールでお酌したら、櫻井くんがすみません、っていいながらぺこぺこした。
なんなんだ。
後輩キャラか、俺様キャラか統一してよ！
可愛くて発狂しそうよ！
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月29日 21時
