31 ページ31
「……」
「……」
見つめ合う私達。
「おはよ」
大野くん、改め、大野係長が私の肩をぽん、と叩いた。
「あ、おはよ」
「何？ふたり。喧嘩？……Aは体調大丈夫？」
「あ、うん。平気」
櫻井くんおはよー！櫻井くんと同期の女の子が櫻井くんの腕に腕を絡めた。
おい、離れろ！
「ね、今度いつご飯行く？」
「いつでもいいよ？」
「今日は？」
「いいよ？ラインする」
「うん！でさ、前言ってたあの話……」
そう言いながら、二人が歩いていく。
今日はノー残業デーだし、仕事終わったあと、話したいと思ってたのに。
がっくり。
「A？」
「ちょっとまだ体調悪い……かも」
大野くんが、そっか、って心配そうにした。
ごめん、悪いのは体調より。
精神状態です。
大きなため息が出た。
そして仕事中。
櫻井くんの態度が悪いです。
「これチェックお願いします」
とか言いながら私のデスクに見積書をだーん！
「仕事にプライベートを持ち込むのは無能の証拠なんだけどな、不機嫌なのは勤務時間外にまとめてやんなさい」
「ああ、チーフ、お忙しいところ恐れ入りますがお願いできますか？」
にっこり。
くっそ、かわいい。
「いいわよ」
「お手数をお掛けいたしました！」
にっこり微笑んだまま私の手から書類をはぎ取る。
しっかり握ってたら破けてたか指切ってたぞ？
紙で指切ったらいたいんだぞ？
時々目があったら、にらんでくる。
感じわるい。
なんで私がにらまれなきゃなんないの。
仕事し辛い！
やり逃げされたの私の方だぞ？
なんてことを仕事を片付けながらイライラしてたら、受付から電話がかかってきた。
「あの、ＹＳコーポレーション様がお見えになってます……」
「誰あて？お名前は？」
「見積書を出した責任者をだせ、とおっしゃってて………お名前はお伺いしてません」
「……責任者をだせ？って……お怒りですか？」
「はい」
名前聞けないくらいお怒りってことか。
周りの人たちが、ふっと眉を寄せて周りを見渡した。
新課長はあいさつ回りで不在。
大野係長も一緒だ。
他もみんな運悪く離席している。
「すぐいきます」
電話を切ったら、近くの席の、一つ下の後輩の、シホちゃんが、私を心配そうに見た。
「……どちら様ですか？」
「ＹＳコーポレーションだって。お怒りらしいから、ちょっと行ってくる。後宜しく」
そういって立ち上がった。
またハズレくじひいちゃったな、これ。
よし。
気合を入れて玄関に向かう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5678人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月29日 21時
