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私たちの笑い声に、お客さんがなんとなく目を上げた。
「……あれ」
周りを見渡して、時計を見た。
「やだ、ここ９時閉店でしたよね」
「いいんですよ、おかわりいかがですか」
「いえいえ。また来ます」
最後のお客さんが慌てて帰っていって、やっと掃除を始める。
精算が終わって、ケーキのショーケースとか、お菓子やパンを置いてる棚にシーチングをかけたりして、松本さんが私に近づいてきた。
「で、付き合うことになったの？」
松本さんがモップを持って私を見下ろす。
「……店長はどこまでご存知なんですか」
「んー……ゆかりさんがご主人さんのことで、親戚ともめてるのは知ってた。その件で用があったときに、翔さんが来たんだよね」
「はい」
「それで、うちのコーヒーと、智さんのケーキをいたく気に入ってくれた、と」
「はい」
「だから、ゆかりさんと親戚ってことは知ってた、この前Aちゃんと翔さんがここでバッタリ会うまでは二人が知り合いってことも知らなくてさ」
松本さんが床をモップで床を磨く。
掃除しててもカッコいい。
「その翌日かな？送ってくれてありがとう、ってお礼言ったら、こちらこそAがお世話になってるようでって言った」
「何目線……」
「前から色々聞いてた、松本くん体調崩したこともあったよね、って。実はずいぶん前に、Aちゃんがここでバイトしてるのを見かけたことがあったんだって。隣の本屋来た帰り？」
「……え」
「どうして黙ってたの？って聞いたら、俺ストーカーみたいじゃんって言ってた」
「……」
「いい方がね、……照れくさそうというか。トイレ掃除のチェック表とのサインとか、お菓子のプライスカードとか、Aちゃんの字を眺めてる姿がさあ」
「……はい」
「Aちゃんのこと可愛くて仕方ないんだな、翔さん。って思って」
顔がかああって赤くなって、椅子をダスターで拭き拭き。
「俺さ、今でこそAちゃんとリコちゃんの字、見分けつくよ？けどさあ、瞬時に字を見分けたり、ましてや字をみて可愛いなあって顔をしないよ」
「……字、なんかで……」
「だよね。純情少年かって感じだよね」
松本さんがくすくす笑ってる。
「だから、怖くないよ、むしろ、逆に安心していいと思う」
「……怖いのは、生理的なもので」
「あんなAちゃんを好きなのに可哀想。ゆかりさんにもバレバレだったし」
ええ？
私のいない時の先生って一体、何。
頭が、くらくらしてきた。
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緩雨(プロフ) - 書きざるを得なかったので書かせていただきます。初めまして拙著ですが占ツクで書いている者です。元々古典が好きで特に古事記が大好きなのでこの作品を読んだ時に何この解釈！面白すぎる！って思いました。ホオリ浦島太郎説とか！何回読んでも面白い作品。素敵です。 (2016年12月17日 11時) (
レス) id: 6c357ba693 (このIDを非表示/違反報告)
メイ(プロフ) - こんにちは初めまして。、ツイッターでお見かけしてこちらにたどり着きました！めちゃくちゃ面白かったです。日本書紀と古事記を、しっかり読んでみたくなりました〜。ラップにスサノオとかアマテラス出てくるんで調べたことはあるんですけどね〜！ (2016年9月25日 14時) (レス) id: ec5fe80861 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽雫(プロフ) - すごく面白かったです！hit数もすごいし…。私のとは大違いです>< (2016年7月18日 21時) (レス) id: 69b94135f0 (このIDを非表示/違反報告)
mogmog5(プロフ) - ↓のももさん同様、何度目かの一気読みです！大好きっ！めちゃハマりますっ！！ (2016年5月20日 21時) (レス) id: 6e2edcf52e (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - この作品大好きすぎて何度も読み返してます！一回目読んだときは気づかなかったけど、俺様翔さんの主人公への愛が溢れちゃってて、何度もキュンキュンしてます。素敵な作品をありがとうございます！ ぜひ実写で見たい〜！セクシーすぎて心臓がヤバイですけど。。笑 (2016年5月9日 5時) (レス) id: b45d714622 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年2月13日 12時
