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清水は同じ部署の席も近くで仲良し。
清水にはやたら可愛い後輩の彼女がいて、彼女のいる奴には逆にすごく仲良くなる、という、矛盾。
安全牌だからか？
彼女がいない男は面倒だ。
やたら下心満載で誘ってきて、しかも、友達を紹介しろと言われる。
彼女欲しい、できたらお前より上玉を、みたいなテンションが死ぬほどうざい。
さっきから近づこうとしてる男をシャットアウトしつつ適当に笑ってたけど、清水ならいい。
こいつとは普通の話ができる。
「あんたさー、もし目の前にあんたの大好きな……えっと」
「……サザン？」
「そう！もし目の前にいきなり現れたらどうすんの？話しかけられる？」
「……ファンです、としか言えないか」
「そう！」
同期の清水が私の隣に座った。
「ファンの域超えて、最早愛してると言っても過言ではないのにファンです、って自分を貶める気分」
「そうなのよ、シングル全部歌えるけどアルバム一枚持ってない人も恐らくファンですって言うよね」
「俺なんてライブ何回も行っててアルバムも全部持ってて本当にファンなのに」
何故か清水が悔しそうに言う。
「ライトからコアまで、下手したら今日からファンになろうって人までひっくるめてファンですって言うんだよ？」
「群がってるあいつら、そんな感じだな」
清水、いいやつ。
一緒に苛ついてくれてる。
「他のメンバーさんファンの人も、なんとか繋がれないかなとかいう感じで近づいてると思うのよ！」
「ありうる！最悪だな」
「あの中に入るのだけは絶対やだ」
「お前がプライド持って大野さんのファンだってことは良く分かったよ」
清水が苦笑いして私にお酌した。
「あ、ありがと、じゃ、清水もどうぞ」
「おお、ワリィな」
二人でお酌しあって何故か乾杯して、目の前の料理を二人でつつきながら、今度は仕事の話になった。
部長の愚痴とか、この前のクレームの話とか、彼女の話とか。
そうこうしてる内に、
大野さんは女の子に囲まれてるのもつかれたみたいで、困った顔でトイレに行った。
ああ、もしかしたらもう戻ってこないかも。
相葉さんの、トイレに立ったまま消えた大野さんの話をなんとなく思い出しながら、やけ食い。
「これなに？」
「海ぶどう」
「ほんとだ、ぶどうみたいな形。沖縄料理ってほか何が美味しいの？」
「ゴーヤチャンプルーとか？あと島らっきょう？ジーマミー豆富……」
メニューを見ながら清水がブツブツ。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年8月12日 7時
