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智くんとの出会いは、半年前の、同僚の結婚式の二次会。
新郎新婦は明日夕方から新婚旅行に行くってことで早々と切り上げようとしていて、
その二次会の終わり頃、智くんはひょこっ、と顔を出した。
私は新婦の同僚で参加していたけど、
智くんは新郎のお友達らしい。
どういうつながりかはわからないけど、結構仲良しみたいで、新婦も驚いてホントだったのね、みたいなことを、言った。
「Aに黙ってたわけじゃないのよ、ただホントにお友達なのか疑ってて……うちの彼、天然だし……」
「確かに」
ももちゃんが頷く。
「確かリモコンをうっかりカバンに入れて持ってデートに行っちゃうとか言ってたね」
「そう」
私の言葉に頷く新婦。
「……仕事にサンダルで行っちゃう、とかよく言ってるもんね……あれでスイッチ入ったら仕事できるとか男を選ぶ目を養わなきゃね」
ももちゃんがブツブツ。
「大野くんってお友達がいるのは聞いてた。テレビ見て大野くんだって言ってるのも見たけど同じ大野くんだとは信じてなくて。ごめんね、A」
みたいに謝られた。
ってくらい私は周りから大野さんの大ファンだってことを認知されていて。
大野さんだ。
って感じでファンではない人たちもわらわらと彼の周りに集まりだした。
私は、急に、夢でいいから会いたいって望み続けてた人が目の前に現れたせいで呆然としたまま、見つめるのが精一杯。
沢山の人に取り囲まれて、ふにゃふにゃ笑ってる大野さんに、ああ本物だって泣きそうになる。
「Aも行きなさいよ！」
ももちゃんに言われるけど動けない。
「いい……あとで、握手だけ、してもらう……」
「折角のチャンスでしょ！」
「いいの、いい」
なんだかセクシーな感じの女の人二人と、自分が可愛いことをわかってる女の子達が、大野さんの周りを占領してる。
櫻井さん……、二宮くん……とか途切れ途切れに他のメンバーさんの名前も出てきてる。
言葉少なに返事してる大野さんを見て、
これ以上、ファンなんですって感じの女が近づいたら可哀想だな、みたいな気になってくる。
「なんで行かないの？」
他の同期も近づいてきた。
「無理だよ、怖い」
「……もったいないー」
今度は同期の男の清水も近づいてきた。
「お前あの人のことすっげー好きだって言ってなかった？」
「すっげー好きだよ！」
「コンサート行けなくて泣いてダメ人間になってた位好きなんだろ？話しかけにいけよ」
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年8月12日 7時
