泣けるほどあなたが好き[O] (ページ29)

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「だから……清水もいるから安心でしょ、って思って」
「うん」
「友達の友達って、言えるし」

智くんも、実は色々考えてるんだ、なんて当たり前の事を、ちょっと思ったりした。

「そっかあ」
「うん、……そう」

ああ、なんだか、ちょっと。
憂鬱になるお話だったりする。

ついこの前まで、私は逆の意味で、智くんのスキャンダルを恐れてたというか。
今度は違う意味で。

でも。
智くんの、遠くを見つめる横顔が好きで好きで、泣けるほど好きで。

「智くん」
「ん？」
「大好き」
「……ふふ」

今度はいきなりじゃなくて、私の首の後ろを手ですっと支えて、ちょっと微笑んだまま、首を傾げて唇を、重ねた。

「今のはー」
「ん？」
「軽くなかった」
「……すっごい重い想いで思ってるもん」
「……はは」

見詰め合って、じーって固まってたら、智くんがぐふって急に吹き出した。
くっくっくって。鼻の頭をちょっと手で触れながら、笑ってる。

「どうしたの？」
「さっき」
「ん？」
「A、さっき、私ドＭだからって、言った」
「…………あ！あーあーあ、いっくらでも私の上に乗って、胡坐を……」
「試してみよっかな」

おおおっと！上に！乗っかってきた！
胡坐じゃないけど！これは、この体勢は！

「胡坐じゃないのお？」
「……」
智くんの眉間に、ふっとしわが寄る。
んーって考えてる顔。

「……どうやってやんの？」
「……」
「あれは……逆だし」

何を言ってるんだ。
もしかしてすんごいいやらしいこと言ってませんか、おにいさん。

「それにそれだと、Aが」
「わああああ」
智くんが、ものすごく楽しそうに、笑った。
「ま、一回試してみよ」

結構な力で引きずられて、ベッドに連れて行かれるという有様。
「あの、もっと優しく」

「え？……ドＭなのに？」

悪魔が、天使みたいに微笑んだ。