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「帰ってきて第一声は、大漁だぞー、じゃないのー？」
玄関に顔を覗かせたら、清水が絶句した。
「なんで……お前」
「サユちゃんがお留守の清水の家から帰ろうとしてたから、中で待って驚かせちゃおうって話してー」
「……」
「ってわけでお邪魔してます」
私がそう言ったら清水が困ったようにため息を吐いた。
「A、もう来てんの？」
智くんが清水の後ろからひょい、っと顔を覗かせた。
一気にかああって顔が紅潮してるのが自分でもわかるけどでも止められないんです！
「新鮮なアジが食べたくなって来たの！南蛮漬けと梅としその天ぷらどっちにしよっかな！」
ああ、なにこれ。
ツンツンしちゃってる、わたし。
「てんぷらかな」
「アジ、たくさんあるの？」
「うん」
二人でクーラーボックスを覗こうとしたら、清水の、あのさぁ、って声がした。
「サユ、俺の留守中に勝手に他人を部屋に入れんなよ」
ああ、怒ってる。
これ、浮気を疑って家に勝手に入ってたなんてことがバレたら清水のことだからマジでキレる、断言してもいい。
サユちゃんは智くんを見て、目をパチパチさせてたけど、清水の剣幕に身を縮ませた。
「ごめんなさい……」
「今日会えないって言っただろ、友達と予定入ってるって」
「だって！ほんとに友達か……気になって」
「それどーゆー意味だよ」
あーあ。
疑ってるなんて言っちゃダメだよ……
清水はそういうの大嫌いなんだから。
「清水の彼女？犬も食わないやつ？」
智くんが首を傾げた。
これは犬も食わないやつではなく、ガチ別れる前兆のヤバイやつだと思うの。
「初めまして、大野です」
智くんが喧嘩中なんて目に入らないみたいに挨拶をした。
「あ、初めまして……大野さん……って、あの、大野さんですよね？」
「あの大野がどの大野さんかわかんないけど、うん」
「お友だちって、大野さん……」
サユちゃんがポカーンとした。
取り敢えず喧嘩をやめさせたい！
智くん、利用する！ごめん。
「そりゃー清水も優先したくなるよね？」
「……」
「私も彼女が居る男の家に躊躇いもなく来る位会いたいのわかるよね？」
「……はい」
「清水は私が智くんのこと大好きなのをずっと前から知ってて応援してくれてるの！」
「……」
「それがサユちゃんから見て浮気？って疑ったなら、私のせいだわ、ごめんなさい！清水もごめん！」
私が謝って丸くおさまるならそれでいい！
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年8月12日 7時
