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はぁー。
何度目かのため息が。
結局智くんはその夜、鯛めしを食べて清水と色々話して帰って行った。
『つぎは美味しいお魚の天ぷらが食べたい』
とかいうリクエストだけ残して。
今度はお魚を持ってきてくれるらしい。
ということは私はまた清水の家に行かなきゃいけないということで。
こんなに憂鬱な気持ちになるのは仲良くなればなるほど色んな事を思い出すからで。
『A、話があるんだけど』
『何？ここでなら聞くよ？』
こうやって何度避けただろう。
彼女ができて、やっと警戒せずに普通のお友達になれたのに。
友達としてはかなりいいやつ。
けど、自信満々でプライドが高くて俺様で色気ムンムンでちょっとナルシスト。
なのにガラスのハート。
好みのタイプと真逆すぎる。
また智くんの連絡先聞けなかったし。
智くんと会いたかったら、清水に懐く以外の方法がない。
清水もそれを計算してるかのような。
数日後の休み時間、清水の彼女がそおっとうちの部署を覗いて清水が首を軽く振った。
しょんぼりした彼女がトボトボと去っていった。
斜め後ろの席の清水に声をかける。
「いいの？落ち込んでるよ」
「忙しいのに会いに来るなって、うぜ」
「ひどー……」
「なんで会社来てまで会わなきゃなんねーの」
「最近デートしてるの？」
「してない」
「だから会いに来たんだよ、可哀想」
「……」
「会ってあげなきゃ」
清水が、私をジーッと見た。
「大野くんと遊ぶ時間削って女と会えっていうんならそうするよ」
「……それは」
「サイテーな女」
……。
応援してくれてるのかな。
多分そう。
清水は、そういう奴だ。
「智くんとは、今度いつ約束してるの？」
「土曜かな」
「デートする暇ないね、確かに」
「お前も誘っていいか聞いてもいいけど、大野くん俺がお前の事好きだって思ってるらしくてさ」
「……」
「俺がお前に惚れてるってことにしてたら誘いやすいけどさ、大野くんは俺の気持ちを利用して自分に会いに来る女をどう思うかな」
「私まるで最低じゃん……」
「今頃気づいたのか、おめでたいやつだな」
それどういう意味よ。
あー、もやもやする。
「智くんに、宜しくね」
「お前、来ないんだ？」
「智くんが、Aは来ないの？みたいなこと言ったら、飛んで行く」
「お前はほんと犬だな、大野くんの犬」
清水がうんざりしたみたいに、言った。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年8月12日 7時
