Ｏ's ＲＯＯＭ ページ2
……でない。
どうして。
ピンポーン。
もっかい。
……でない。嘘でしょ。
合ってるよね？ここで合ってるよね。
ラインで送られてきた住所を確認して、マンション名を見て、もう一度チャイムを鳴らす。
「……ん？」
おかしいな。
なんか間違ったかな？
電話をかけようと携帯を取り出そうとしたら、智くんのあは。あはは。って声と共にチャイムの音が途切れた。
「あ！いた！」
「いたよ」
「何してたの？」
「見てた」
「見てた？」
「うん。あれー？とか不思議そうにしてるAの顔見ててー」
……悪趣味だ！
「どんな顔してた？」
「……ふふ」
「間抜け面……？」
「描く？」
「描かなくていい！」
「ふーん」
「あの！」
「……ん？」
絶対向こうで笑ってるぞ、これ。
「開けてもらっていいですか？いつまでここで立ち話を」
うぃーん。
話の途中で扉が開いた。
ちょっとカメラを睨んで中にはいる。
智くんは、意地悪だ。
ほんと、意地悪。
中に入って、部屋の前に行ってチャイムを鳴らしたら、どうぞ。って言われる。
鍵は？
と思ったら開いてた。
「おじゃまします……」
「……」
抜き足さし足になるのはなぜだ。
どこにいるんだろ？
居間？
そっと奥を覗いたら、智くんが雑誌を見たままボーッとしてる。
「こんばんは」
「ふふ」
「来ちゃった、おめおめと、まんまと」
「ふふふふふ」
「どうせアレでしょ？バカだなーとか思ってるんでしょ？」
「あはは」
鼻を、すん、ってすすって、ふふふって笑ってる。
「行かないからねって言ったのに来たもんね」
「……」
「来ると思ってた？」
「うん」
「……どうして？」
「おれが、まってるからおいでって言ったから」
「……」
「Aはおいでって言ったら来るの知ってるもん」
意地悪だ。
ほんと意地悪。
「いつもそう」
「……」
「今日、泊まるでしょ？」
「やめとこっかな！」
ちょっと反抗してみる。
私をチラッと見る。
「……」
「嘘です……」
「なんで嘘つくの」
あはあは、って笑ってる。
今日は、ごきげんだ。
「そんなとこでボーッとしてないでこっち」
「……」
「ボーッとしないで、ほら」
2回も言われた！
「ぼーっとしてないもん！」
「してる」
「智くんだってぼーっとしてるじゃん！」
「ふふふ」
もー、なにこれ。
手のひらで転がされてる感満載なんだけど！
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年8月12日 7時
