31、ブラバンとジャズ(6/9) ページ31
結局。
勿論って言ったほうがいいのかな。
大野くんがぶっちぎりで女装コンテストで優勝した。
「嬉しいです。ありがとうございます！……あ、生徒会長！」
「おめでとう、智子。信じてたよ」
とか言いながら花束と食券の目録を渡して、思いっきり、ぎゅううううって抱きしめた。
「あんっ！」
大野くんはもう女の子にしか見えない仕草で、トサッって目録とか花束落として、講堂は、悲鳴とか歓声でとんでもないことになった。
その後ろで、哀愁のヨーロッパを演奏し続ける、我々ブラバン。
ああ、ブラバンはジャズとかそういう感じのやつをやってんだ、って学校に浸透して、
オケ部で泣く泣くクラリネットとかファゴットに転向したサックス奏者たちが、俺も入部したいです、って言って来て、部員が数人増えた。
なぜか男ばっかりなのは、面接で五人が順番にちなみに聞きますが、この中で好みのタイプは？って聞いて、
「いません」
と答えた女子がいなかったことだろう。
○○くんです、って回答は勿論のこと、内緒です、とか、恥ずかしい、とか、そういう回答すらすべて混乱の原因を防ぐためとかいう理由でごめんなさい、した。
だから、私が部員になった理由が、もっとすごいことだってことになった。
「ずっと一緒にいるのにぜんぜん誰にもドキ！とかしないの？」
「……しないかな」
３次元に興味がないだけでなく、もしかして男に興味がないんじゃ、なんてうわさにもなって、ちょっとげんなりした。
こうやって、どんどんアンパイ扱いされていくのも、女性としてどうなんだ。
教室で相葉くんに英語の訳教えて！今日当たるんだ！って手を握られてても、櫻井くんに平居先生に遅れるって言っててね、マイハニー、とか言われても、
大野くんに、Aおれに着いて来いっていきなり言われても、松本くんにバーカって頭を叩かれても、皆はいいなあ、って言うだけで、やきもちは焼かれない。
和は。教室では私には絡んでこない。
相葉くんに二言三言話して、じゃ、って帰る時に流し目みたいに、私をチラッとみるだけ。
クリスマスが近づいて、期末テストが終わったら、冬休みに入る前に一度皆で部室に集ってクリスマス会兼誕生会を、いつものメンバーだけで開いて、また会えない冬休みが始まった。
クリスマスはきっと彼女と。初詣もきっと。
しくしく痛む胸を抱えて、ため息を吐く。
もう、忘れたい。
やっと、そう思えるように、なった。
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みゅう(プロフ) - 解放ありがとうございます。涙。だいすきです。。 (2019年10月20日 22時) (
レス) id: 94596ebf5a (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - この学校に通いたいです。。こんな青春したい。。よしのさんのお話すごいツボです〜 (2016年1月6日 22時) (レス) id: 8994b070b7 (このIDを非表示/違反報告)
RAITO - こんにちは!!RAITOと申します。読ませていただきました。今までとは少し違うテイストの物語でわくわくします《*≧∀≦》青春の甘酸っぱい香り!! (2015年6月27日 11時) (レス) id: 485e47e579 (このIDを非表示/違反報告)
ちょりん(プロフ) - 高校までの6年やってたユーフォが出て浮かれてたら、最近始めたコンバスが！しかも担当が！勿論話も楽しくて(><)何があるのかドキドキしてます！ (2015年6月10日 1時) (携帯から) (レス) id: 83acbf6b6f (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょか(プロフ) - 青春、ＳＦ、長編、どんと来〜い♪ 楽しいです。切なさもありつつ、和の避けたかった未来、それでよかったのか和と、分からないまま 和を叱咤激励、主人公ちゃんを応援しながら日々過ごしてます。 (2015年6月9日 23時) (携帯から) (レス) id: 0bab093355 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年5月30日 17時
