７、願いが叶う鏡 ページ7
「で、君が入部するかどうかを決める材料として、ブラスバンド部ができた経緯」
櫻井くんが、ちら、っと松本くんを見た。
「どうぞ？」
松本くんが櫻井くんを促した。
「うちの学校には妙な伝説があって」
「はい」
「願いが叶う鏡」
「……は？」
私の反応に皆が同時に頷いた。
「よかった、Aが『わぁ素敵』とか言う子じゃなくて」
二宮くんがぼそり、と呟いた。
「ロマンチックなのにー」
相葉くんがニコニコ笑ってる。
「鏡に向ってお願いってやるんですか？鏡よ鏡よ鏡さん？」
「まぁ、そんなとこ」
櫻井くんがくすくす笑ってる。
「この学校のどこかに、願いが叶う鏡があるらしい」
「トイレ？」
「いや、身だしなみを整えるという意味で、各階の階段の前に姿見があるだろう、あのどれかだといわれてるんだけど」
「はい……」
「まぁ、ここまでならよくある、子どもの現実逃避から生み出した妄想話だと思うだろう」
「思いました」
こくこく。頷いたら大野くんが安心したみたいに笑った。
「ところがさ、冗談だとは思えない妙な噂が立ち始めた」
ごくり。
いくら馬鹿馬鹿しいとはいえ、他力本願で願いが叶うならそれは是非とも知りたい。
「どうやら、何年かに一度だけ、大きな願いを叶える奴が出てくるってことだね」
櫻井くんが言ったら松本くんが続けた。
「自分が女優になって死ぬほど好きだった俳優と結婚したやついたよな？」
「15歳差のあれだよね？」
相葉くんが名前が思い出せないーって笑って、二宮くんが答えて、その名前は聞いたことある名前で。
「あと、偏差値32とかのやつが一気に成績上げて日本一難しいと言われてるあの大学に入ったこともあったし」
松本くんが楽しそうに笑う。
「サッカー選手になった奴もいる」
「……それってどこにでもある学校の伝説では」
たまりかねて、言ってみる。
有名人なんてどこの学校にも何人か輩出してるもんなんだし。
「いやいや、違うんだって！冗談だとは思えないのはそれじゃなくて！」
櫻井くんが慌てて否定した。
「彼らの共通点が、最近わかったんだよ。彼らは全員『夢を見た』って言うんだよ。未来に行った夢を見たって」
櫻井くんが真顔で言う。
「これってアレじゃね？心理学的にすっごい興味があるわけ。未来を信じる力は、成功をおびき寄せる力になるんじゃないかってこと」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1841人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みゅう(プロフ) - 解放ありがとうございます。涙。だいすきです。。 (2019年10月20日 22時) (
レス) id: 94596ebf5a (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - この学校に通いたいです。。こんな青春したい。。よしのさんのお話すごいツボです〜 (2016年1月6日 22時) (レス) id: 8994b070b7 (このIDを非表示/違反報告)
RAITO - こんにちは!!RAITOと申します。読ませていただきました。今までとは少し違うテイストの物語でわくわくします《*≧∀≦》青春の甘酸っぱい香り!! (2015年6月27日 11時) (レス) id: 485e47e579 (このIDを非表示/違反報告)
ちょりん(プロフ) - 高校までの6年やってたユーフォが出て浮かれてたら、最近始めたコンバスが！しかも担当が！勿論話も楽しくて(><)何があるのかドキドキしてます！ (2015年6月10日 1時) (携帯から) (レス) id: 83acbf6b6f (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょか(プロフ) - 青春、ＳＦ、長編、どんと来〜い♪ 楽しいです。切なさもありつつ、和の避けたかった未来、それでよかったのか和と、分からないまま 和を叱咤激励、主人公ちゃんを応援しながら日々過ごしてます。 (2015年6月9日 23時) (携帯から) (レス) id: 0bab093355 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年5月30日 17時
