働きマンとYouTuber２

第86話 ページ39

別に喧嘩して別れたんじゃない。
マホトさんから別れを告げられたから、私は素直に言う事を聞いただけ。
周りの目が怖かったら、寄りなんて戻してない。

「今日撮影だから行ってくる！」

仲間家みんなで雑誌の撮影らしい
撮影にまで載るほど凄い人なんだなと思い玄関まで見送って私はバンドの練習に向かう
モデルはとうの昔に辞めてしまった、学校も無事卒業して今はバンド1本で生きている

としみつさんとのライブの為にスタジオに1日篭りっぱなしの日々だが苦ではない

「ワタナベマホトとより戻したなんて聞いてないよ、A」
『あーごめん、麻耶。言うの忘れてた』
「次、ワタナベマホトがAと何かしたら私は絶対許さないと思う」
『大丈夫だって、麻耶』

ずっとずっと心配してくれた麻耶もなんだかんだでマホトさんに心を開いている

「Aも俺の動画出ろよ！公表してリスナーみんな知ってるんだしさ」
『え、い、いいよ、わたしは…』
「じゃあ俺の動画出よ？ねっねっねっ！」
「おいサグワ！俺は絶対許さねえぞ！！」
「じゃあヘキトラでいいじゃん、な、へきほー！」
「お前の方が絶対許さないからな？」

4人で騒いでるのを見ていると何故かとても幸せになったような気がした
静かにベランダに出て空を見上げる
こう思うとわたしは今とても恵まれてると思う

『父さん母さん、わたしは今とても幸せだと思う』

音楽に興味がなかったら、私が東京に出てなかったら、私はマホトさんやみんなに会えていない

「お前の母さんと父さんに会いたかった」
『マホトさん…？』
「挨拶したかった、俺がAを絶対幸せにする！ってさ。Aもツアーだし、俺もそろそろツアーがあるし、暫く遠距離になっちまう。浮気すんなよ？」
『それはマホトさんにそのままお返しします』
「マホト」
『…え？』
「さん、いらないって。マホトって呼んで」

こんな我が儘で、どこかお調子者で、でも男らしい
そんなマホトさんが好きだ

『ふふっ…お互い頑張ろうね、マホト』
「ああ、大成功させよう」

ツアーが始まる1ヶ月前
私達はお揃いの墨をいれた
カイワレのツアーから私のバンドより先に始まってしまう。
その前に私も、マホトも寂しくないように
１日を大事にしようって、決めた。



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