43.暁 ページ46
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ふとAが目を覚ましたのは、日がまだ出てない深夜に近い早朝であった。隣には亜簾がいる。静かな寝息をたてて眠っている。身体を重ねて、もっと強く想ってしまうようになった。離れたくない。
「A…」
ぼそり、と零れた亜簾の寝言が愛おしく想う。そっと、布団から抜け出してよろよろとしながら服の袖を通し、羽織を肩に掛けて亜簾が起きないように部屋をでた。ぎし、ぐう、と廊下の床が軋む音が耳に響く。縁側の方へ出ていくと、まだ月が出ていた。そして、2つ人影があった。
「〜〜」
それは百合音の素の声だった。そして相手は楼主の蒼。彼は少し困った顔をしながら百合音の話を聞いているようだった。そして、今度は蒼が言葉を返した。
「私はAが幸せになれる淀屋の若君で特に異論はないのだが、思いの外柳生家の殿方は頑固なんだ」
「…そこに誰かいるのか」
百合音に気付かれてしまっていたようだ。仕方がない、とAは百合音と蒼の前に姿を現す。蒼は乱れた髪を見て、情を交わしたのか、と察する。無論、部屋を貸した百合音は分かりきっている。
「っ、俺だ」
若干掠れ気味の声を聞いて、百合音は鼻で笑う。
「華永野身請け話、どう方をつける？」
「…直接、俺が話を付ければいいんだろ」
蒼はAの返答に心配そうに声をかける。
「A、無理はしなくてもいいんだ。私も手は尽くす」
「いい、…もう俺は戻るよ」
気を使わせなくない。蒼には迷惑を掛けたくない。優し過ぎて、また逃げてしまいそうになるから。その場を離れた。
部屋に戻る途中、亜簾と出くわした。
「この前も添い寝してくれた時、いつの間にか居なかったよな」
「悪い、亜簾様」
「様はいいって言っただろ。A、少し話したいことがあるんだ」
それは全く検討もつかぬことだった。身請けの話だろうか？昨日で十分話したことだと思っている、きっと違うだろう。亜簾が座敷に入りAはその後をついて行く。
「その信じられない話かもしれないんだが、俺はこの時代のずっと先から来た人間なんだ。えっと、未来人…？」
「未来…？」
Aはさっぱり何を言っているのか分からない風だった。亜簾はやっぱりむずかしいよな、と言いながら話を続ける。
「そのここに来たばっかりの時、俺は吉原に迷い込んでてその時にAと会った。その時一目惚れで笑顔が忘れられなくて、ずっとAを探して見つけて嬉しかった」
「そ、そうだったのか」
、
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続く
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Ria。(プロフ) - 初めて見たのですが、、ッ好きすぎます。尊すぎます。こんな尊い小説があってもよろしいのでしょうか。ええ、もちろんあってよろしいです。この素晴らしい小説に出会えて良かったです！！ (2022年4月29日 18時) (
レス) @page46 id: 6d33a476b4 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 藤雲ルアリナさん» あああ！お喜ばれる小説を書けていたようでとても嬉しいです！やる気でますね……頑張りますね！ (2020年4月8日 15時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
藤雲ルアリナ - 世界観、空気、文体、ストーリー、もう何もかも好みです！毎回更新楽しみにしてます！ (2020年4月8日 0時) (レス) id: 3165ea2c89 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 氷浦メグさん» ひえぇっありがとうございます泣 これからも暇潰しにでも覗きに来てください… (2020年3月13日 17時) (レス) id: 54569fedb3 (このIDを非表示/違反報告)
氷浦メグ(プロフ) - 初見です。尊いですありがとうございます！ (2020年3月13日 13時) (レス) id: 3357bae399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛之助
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oh19years/
作成日時：2019年2月16日 22時
