39.泡沫の夢 ページ42
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「確かお前の兄の名前は
Aは布団に転がってはいるが、余程憎い相手なのか恨めしい過去なのか、殺気を含んだ真顔は酷く冷たく、病み上がりとは思えない力で百合音の胸倉を掴み取る。
「五月蝿い。二度とその姓の話は出すな。
奴の身請けは死んでも受けない」
流石に地雷を踏んだことに気付き、百合音は素直に詫びを入れる。すると、Aはすっと手を離しぼふ、と布団の上に降ろし、普通の顔に戻る。
「姓、か」
「…寝る」
Aは百合音に背を向けて、そう言い眠ってしまった。百合音はAが眠りについたのを確認して、ぽつんと言葉を零す。
「…そこに1040両も出されてるんだぞA。流石に若旦那も厳しい」
「華永野、華永野っ」
「ん、…なんだ、ゆり…ね」
ゆさゆさと揺さぶられて、天井に顔を向けて重い瞼を開ける。何かが見えた、次第に焦点が定まってくると途端に心臓の鼓動が高鳴り出す。
「…亜簾…様？」
「では、わっちは失礼しんす。ごゆっくり、若旦那」
Aが起きたのを確認した百合音は男に似つかわしくない猫なで声と微笑みを向けると、座敷から出ていった。
亜簾はAの前に座ると、しんと黙った。
「華永野、」
静かにそう呼ばれたが、Aは布団の中に潜った。
「華永野？」
「…ちが、う」
小さく掠れた声が返ってきた。
「え？……」
亜簾は少し考えて、もしかしたら、と口を開いた。
「…A？」
「なんだ」
Aを呼んで欲しかったのか、とAの特別になれて嬉しさが込み上げてくる。思わず、頬が緩んでしまった。すると、Aが布団の中から目を出した。
「何にやけてやがる。気持ち悪い…」
「…いや…かわいいな、て」
「…あ？…っるせぇよ」
Aは不満気な顔をして、じとりと睨まれる。流石に男なのだからかわいいなんぞ、言われたくなかっただろう。でも、今はどうしても浮かれてしまう。
Aも自分の事を好きだと言ってくれた。そして、自分を受け入れてくれたこと。
馬鹿みたいに世界が変わって見えてしまう。
「…キスしてもいいか？」
「きす？なんだそれ」
ああ、忘れていた。この時代でキスて言わないのか。Aは接吻とか口吸いて言ってただろうか。
「っと…接吻だな」
特にAの反応は薄かったが、割と初々しさを感じない毅然とした態度で少し残念である。
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Ria。(プロフ) - 初めて見たのですが、、ッ好きすぎます。尊すぎます。こんな尊い小説があってもよろしいのでしょうか。ええ、もちろんあってよろしいです。この素晴らしい小説に出会えて良かったです！！ (2022年4月29日 18時) (
レス) @page46 id: 6d33a476b4 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 藤雲ルアリナさん» あああ！お喜ばれる小説を書けていたようでとても嬉しいです！やる気でますね……頑張りますね！ (2020年4月8日 15時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
藤雲ルアリナ - 世界観、空気、文体、ストーリー、もう何もかも好みです！毎回更新楽しみにしてます！ (2020年4月8日 0時) (レス) id: 3165ea2c89 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 氷浦メグさん» ひえぇっありがとうございます泣 これからも暇潰しにでも覗きに来てください… (2020年3月13日 17時) (レス) id: 54569fedb3 (このIDを非表示/違反報告)
氷浦メグ(プロフ) - 初見です。尊いですありがとうございます！ (2020年3月13日 13時) (レス) id: 3357bae399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛之助
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oh19years/
作成日時：2019年2月16日 22時
