38.泡沫の夢 ページ41
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「亜簾っていうあの男は全く女心もろくに知らん、人を気遣うような心も知らん。に、比べ俺は女心も分かる、愛想もある、おまけにアンタのヤケ酒にも付き合う
なのに何故客にはならない？そんなのと同じだよ」
よく分からないが、突然に百合音に文句を言われているようで少し酒を飲む手を止めた。
「…あ、そう…なんだ。で、も私あの人よりいい人だと思ってました」
ぼそぼそと文句を言う子供のように若葉はそう言う。
百合音は特に呆れもすることはせず、しっかりと答えた。
「それは、アンタも本当の華永野を知ったら考えを変えるんじゃないか。それなりにアイツは努力してるし、苦しい思いもしてる。魅力的な男だ。
若葉、お前が華永野や俺は客を騙す者が遊男としててしか見てこなかったからじゃないのか？」
どうやら図星をついたらしく、若葉は目を見開いた。そして、申し訳なさそうに眉を下げる。
「そうですね。確かに、素の百合音さんといると楽です、友人みたいな感じで色々気付かせてくれるって…私、あの人に酷いこと言ってしまいました」
「気にする程じゃない。根には持たない奴だからな」
「で、A接吻してるの見たんだろ。
あれは寝惚けた若旦那に自分の欲望をぶつけただけだぞ」
「…俺は別に何も」
全く百合音は全て見ていたかのように、言い当てて痛いところをついてくる。実際、見ていたし悲しい、と思った。
「フン。それで逃げ出して、髪結いの男にまんまとハメられて何言ってんだ。
俺は忠告したんだがな、男だろうと客が来るって。髪結いの男じゃなかったら追い出せもしない。抱かれても文句は言えないんだからな」
母親か姑か何かのように口煩く病み上がりのAはガミガミと言われてしまう。が百合音はAを大切に想っている。歳下のAに売り上げを越されようが関係ない。子供の頃からそれは同じだった。水揚げも、Aは抱かれるのが怖いと言った時も百合音は許した。
「…A。さっさと身請けして貰え。だが、こういう時に限ってかお前に身請けが若旦那も含めて3件も来てる」
「3件もか…物好きだな」
一応、自分の意思は尊重される。が、蒼やこの見世のことを考えた結果身請けの相手を選ぶ。あまり私情は持ち込められない。
「お前の、兄も身請けをしたいと申し出てきた」
「あ'゛ぁ！？」
驚きでAは勢いで振り向いた。が、腰にくる激痛に悶え、布団に逆戻りした。
百合音は、はははと遊男に似合わない笑みを零した。
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Ria。(プロフ) - 初めて見たのですが、、ッ好きすぎます。尊すぎます。こんな尊い小説があってもよろしいのでしょうか。ええ、もちろんあってよろしいです。この素晴らしい小説に出会えて良かったです！！ (2022年4月29日 18時) (
レス) @page46 id: 6d33a476b4 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 藤雲ルアリナさん» あああ！お喜ばれる小説を書けていたようでとても嬉しいです！やる気でますね……頑張りますね！ (2020年4月8日 15時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
藤雲ルアリナ - 世界観、空気、文体、ストーリー、もう何もかも好みです！毎回更新楽しみにしてます！ (2020年4月8日 0時) (レス) id: 3165ea2c89 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 氷浦メグさん» ひえぇっありがとうございます泣 これからも暇潰しにでも覗きに来てください… (2020年3月13日 17時) (レス) id: 54569fedb3 (このIDを非表示/違反報告)
氷浦メグ(プロフ) - 初見です。尊いですありがとうございます！ (2020年3月13日 13時) (レス) id: 3357bae399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛之助
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oh19years/
作成日時：2019年2月16日 22時
