35.泡沫の夢 ページ38
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Aを背に抱えて、なるべく人目につかないように路地を通って見世に向かう。結局、事には及ばなかった。
「駄目だ。お前が好きだから大事にしたい、見世に戻ろう」
そう言った。Aは苦しそうではあったが、頷いた。こんなことにならなければ、Aがいいというならいつでも愛して愛して抱き潰したい。
「亜簾様、…」
「なんだ?」
熱い息が首元に掛かる。誘われているようにしか感じないが、誘惑に負けるわけには行かない。大事にすると言ったのだから。
「すきだ」
背負った身体が少し動いて、しばらく間を置いた後にAは甘く囁いた。思わず、転けそうになってしまう。なんてこの男は魔性なやつなんだ。人が耐えているのに、今すぐキスしてめちゃくちゃに啼かせたくなる。
「すき、す、き」
「誘ってるのか」
「そうだ」
「ッ…」
正直なところ自身も昂って、このまま見世には行けない状況でもある。Aを降ろしてやった。すると、壁に寄りかかった。冷たいから心地いいのか、ぼうっとしている。俺は、そうしているAに覆いかぶさって、昂っている局部を服越しにAに押し付ける。
Aはそんなことをされると思っていなかったのか、驚いて亜簾の目を見るがすぐに気恥ずかしくなって逸らしてしまった。
Aの局部の近くに擦り付けてやると、ぞわりとしたのかびくびくと身体を震わせる。
「ッあたって…る」
「今更出来ないなんて言わないよな」
「ッ…接吻してか、ら」
いつの間にこんなにもいろめかしくなってしまったのか。すっかりAの虜になってしまった。
唇を重ねるとAの手が亜簾の首に回る。深い接吻になっていくと、薬の効果もあり少々Aが感じてしまって声が漏れている。
路地にいると言ってもすぐ近くには一通りがある。路地から出れば店が並ぶ。誰に見られてしまうかも分からない状況でAは羞恥を感じていたが、今の気分は早く楽になりたいのだ。
亜簾としてはあまり他のものにはAを魅せたくない、が恥じらいながらも腰を自分に擦り寄せて来るのは堪らなく興奮する。
Aの帯をとくと、するりと落ち艶やかな白い肌が晒される。だが、先に手酷くされたせいで手形がついていたり、所々赤くなって噛まれた痕まである。
嗚呼、上書きしてやらないといけない。とAの身体に触れた。
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Ria。(プロフ) - 初めて見たのですが、、ッ好きすぎます。尊すぎます。こんな尊い小説があってもよろしいのでしょうか。ええ、もちろんあってよろしいです。この素晴らしい小説に出会えて良かったです!! (2022年4月29日 18時) (レス) @page46 id: 6d33a476b4 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 藤雲ルアリナさん» あああ!お喜ばれる小説を書けていたようでとても嬉しいです!やる気でますね……頑張りますね! (2020年4月8日 15時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
藤雲ルアリナ - 世界観、空気、文体、ストーリー、もう何もかも好みです!毎回更新楽しみにしてます! (2020年4月8日 0時) (レス) id: 3165ea2c89 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 氷浦メグさん» ひえぇっありがとうございます泣 これからも暇潰しにでも覗きに来てください… (2020年3月13日 17時) (レス) id: 54569fedb3 (このIDを非表示/違反報告)
氷浦メグ(プロフ) - 初見です。尊いですありがとうございます! (2020年3月13日 13時) (レス) id: 3357bae399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛之助 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oh19years/
作成日時:2019年2月16日 22時