9.空虚の華 ページ12
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「淀屋の若旦那」
恐らく、Aに恋をしたのだろう。と自覚したものの亜簾は恋愛に
「若旦那」
「なんだよ」
何度も話し掛けてきた男に亜簾は鬱陶しく思いながら、振り向いた。亜簾はまたAの「呼び出し」をした。が、そこにAはいなかった、Aよりも若い見た目をした青年だった。
「兄さんは他の指名があったので、今日は来んせん。名代として、わっちが来んした」
「ああ、そう」
*ふられた、ということだ。当然、Aの客は亜簾だけなわけがない。むしろ、まだ「馴染み」ではない亜簾より「馴染み」を選ぶのが普通だ。
*ふられる:遊女を呼び出したが、自分以外の他の客へと行ってしまうこと。
Aの弟分であろう、新造は亜簾の隣に腰を下ろした。
「新造か」
「あい、
盃にとくとく、と酒を注ぐ朝霧。顔は穏やかだったが、酒を注ぐ手が震えていた。そのうち、外れて亜簾の着物に酒が掛かってしまったが、亜簾は気にも止めず酒を口に含んだ。
「ご、ごめんなんし…」
「慣れてないなら、失敗して当然だ。それより、こういう時は色仕掛けでもするんじゃないのか」
「えっ…」
「自分の袖で拭くとか、俺はよく知らないが」
女吉原でされたことだ。橋衛門の盃から酒を溢した遊女は直ぐに自分の袖で拭いて、橋衛門の気を引いていた。思い通り、気に入られていたように見えた。そうは言っても、亜簾はそんな色仕掛けには全く引っ掛からない。
「お、覚えておきんす…！」
「そ。…なぁ、朝霧」
ふと、亜簾は朝霧に聞いた。
「あい？」
「華永野は、男に抱かれたことがあるのか」
すると、朝霧は抱かれた…、と言葉を溢して少し頬を朱に染めた。亜簾は、まだ朝霧には早かったか、と思ったが。見た目や大体の年齢ならどうてことないのでは、と少し目に止めた。少し考えて、無垢という言葉が亜簾の頭に浮かんだ。
「に、兄さんの客で男の方は若旦那しかいんせん。わっちが聞く限り抱か…れたことはありんせんかと…」
亜簾は、昨日Aが言っていた、抱けと言われれば抱く。抱かれろと言われれば抱かれる。それが普通。と言っていたことを思い出して、あれが例えの話なのか、自分の話なのか気に掛かったからである。
「そうか、ありがとう」
亜簾は心の奥底で、安心したように感じていた。
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Ria。(プロフ) - 初めて見たのですが、、ッ好きすぎます。尊すぎます。こんな尊い小説があってもよろしいのでしょうか。ええ、もちろんあってよろしいです。この素晴らしい小説に出会えて良かったです！！ (2022年4月29日 18時) (
レス) @page46 id: 6d33a476b4 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 藤雲ルアリナさん» あああ！お喜ばれる小説を書けていたようでとても嬉しいです！やる気でますね……頑張りますね！ (2020年4月8日 15時) (レス) id: fe109e5f3f (このIDを非表示/違反報告)
藤雲ルアリナ - 世界観、空気、文体、ストーリー、もう何もかも好みです！毎回更新楽しみにしてます！ (2020年4月8日 0時) (レス) id: 3165ea2c89 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - 氷浦メグさん» ひえぇっありがとうございます泣 これからも暇潰しにでも覗きに来てください… (2020年3月13日 17時) (レス) id: 54569fedb3 (このIDを非表示/違反報告)
氷浦メグ(プロフ) - 初見です。尊いですありがとうございます！ (2020年3月13日 13時) (レス) id: 3357bae399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛之助
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oh19years/
作成日時：2019年2月16日 22時
