ノンショルダーな同居人２【紫】 (ページ37)

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小瀧side

今日は、6月から始まるドラマの撮影で、公園に来ています。

和装で公園って、とても違和感あると思わん？

公園にはエキストラの人達がチラホラ居て、助監督さんの指示に沿って動いてもらってる。

まぁ公園だから、遊んでいれば大丈夫なんだけど。

「今日はよろしくお願いしまーす」なんて挨拶回りしながら、ふと視線を感じて、近くのフェンスの向こう側を見た。

そこには、自転車に乗って前カゴにお買い物のバック置いて、俺の事をじっと見つめてる桜ちゃんの姿。

桜「の、ん、ち、ゃ、ん！？」

桜ちゃんの声が、スコーンっと俺の耳に届く。

そりゃあ、こんな住宅街で芸能人に遭遇したら驚くか。

桜ちゃんは、カメラを持つような身振り手振りをしてくる。

きっと、撮影？かドラマの撮影？って言いたいんだろうな。

俺は、それに大きく頷く。

すると、桜ちゃんは、拳作って、「頑張って！」と言ってくれた。

「ありがとう！」

と言えば、手をフリフリして自転車に跨ってスィーっと行ってしまった。

よぉーし、頑張ろう！！！

スタッフ「小瀧さん、お願いしまーす！」

「はーい！今、行きます！！」

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桜side

午後休だった私は、自転車を漕いでスーパーへの道のりを走っていた。

すると、いつもは疎らな公園が異常に賑わっていて。

「なんやろ？撮影か？」

と思い、歩道に自転車を止めて眺めていると、和服を着た男性が、こちらを見た。

…え？

ん？

あれ？？

誰かに似てる。

誰だ？崇裕じゃないし、照史でもないし、シゲでもない、、、あ！！！！！

「のんちゃん！？」

ビックリして言えば、その声、聞こえたんだろうな。

のんちゃんが笑いながら大きく頷いた。

まさか、のんちゃんが和装なのって…もしや。

(ドラマの撮影？)

小瀧(うん！)

無言のやり取りは私の渾身のパントマイムで伝えたんだけど、のんちゃん以外の人に、変な人って思われてそう。

(頑張って！！)

小瀧(ありがとう！)

これ以上のんちゃんの頑張りを邪魔したらいかんと思って、私は、その場を去ろうと自転車を漕ぎ出した。

すると、公園の方から「よーい、スタート！」という監督らしき人の声が聞こえて、ピタッと足を止めた。

振り返れば、そこにはアイドル小瀧望ではなく、役者の小瀧望がいた。

思わず惚れてしまうのをグッとこらえて、心の中で「ふれーふれーがんばれー！」と呟いて走り出した。