…24 Tangled ページ24
濱田side
今日はお仕事が1日offなので、桜とリビングで配信サイトを眺めております。
桜「何見ようかな〜！たかは何がいい？」
「俺はなんでもええよ。」
桜「じゃあ、これ！『Tangled』！」
金髪の少女が馬やカメレオン、青年と共に背景の塔が目印のサムネになっとる。
CGアニメ作品なんやろうけど、これは？
「Tangled！…ってなに？」
めっちゃいい発音で邦題を言うから、言い返したけどイマイチピンとけぇへん。
桜「えーっと、『塔の上のラプンツェル』っていえば分かる？」
「あー！！あれね！！髪の長い女の子の話！」
桜「そうそう(笑)それよ。」
俺がざっくり言ってしまったが故に、隣で桜がツボりながら、部屋の電気を消した。
手元の机にはさっき2人で作ったポップコーンと、オレンジジュースと炭酸ジュースが入った2つのカップが置かれてる。
そういえば、桜がDアニメーション映画はこれが1番好きって言うてた気がする。
「じゃあ、見るよ。」
桜「うん！！」
リモコンで再生ボタンを押す。
それから始まる物語の世界に、俺達はのめり込んで行く。
ラプンツェルの継母ゴーテルに外の世界は危険だと言われ怯え、ラプンツェルの外の世界へ行って星を見たいという夢に想いを馳せ、塔から飛び出して自由になった瞬間に、思わず桜から飛び出す弾ける笑顔。
ラプンツェルと共にその世界を冒険し、運命に立ち向かっていく。
そんな桜の映画の楽しみ方を、俺も一緒になって楽しんでいた。
しかし、ラプンツェルの物語が起承転結の転に差し掛かった時、桜は思わず俺の腰をギューッと抱きしめてきた。
「甘えたさん？」
思わず聞けば、瞳には涙が浮かんでる。
桜「行かないで…。」
「俺は置いて行かんよ。ずっと傍に居るよ。」
桜「ん…。」
ギューッと抱き締め返せば、俺の胸に顔を埋める。
桜が、アニメの中のラプンツェルと共にぽつりぽつりと、口ずさむ魔法の歌。
Flower
gleam and glow
(花はきらめく)
Let your power shine
(魔法の花)
Make the clock reverse
(時よ戻せ)
Bring back what onece mine
(過去に戻せ)
Heal what has been hurt
(傷よ癒せ)
Change the Fates'design
(運命の川)
Save what has been lost
(さかのぼれ)
Bring back what once was mine
(蘇らせろ)
What once was mine…
(過去の夢…)
桜の歌声が耳に届く。
透き通る綺麗な歌声だった。
それは初めて聞く桜の歌だった。
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作者名：彩楓 | 作成日時：2021年11月30日 23時
