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そのまま眠るかと思われた東海道だが一度閉じた目が半分ほど開いて山陽を見た。その何かを訴えるような眼に山陽は安心させるように笑いかける。
「大丈夫。ずっといるよ」
東海道の頬にそっと口づけると熱が唇に伝わった。言葉通り一晩中でも付いているつもりだ。
山陽は冷蔵庫との往復のついでにリビングから持ってきていた厚手のブランケットを肩から掛け、ベッドサイドの床に座った。立てた片膝を抱え、東海道に顔を向ける。高めの温度設定にした部屋ならこれで十分だ。その位置から手を伸ばして布団の中で東海道の指に触れた。手の届く距離に安心したのか東海道がやっと目を閉じる。
「ゆっくり寝て、早く治せよ?甘えてくれるのも嬉しいけど、やっぱ元気じゃないとなぁ。……お休み、東海道」
手元のリモコンで部屋の照明を小さくする。山陽は薄ぼんやりとした灯りの中で東海道の横顔を見つめた。これ以上酷くならなければいいのだが。
――俺にうつしてもいいから早く治してくれよ
東海道は時々は息苦しそうだが、一応は安定した呼吸で寝息を立て始める。そのことに山陽は少し安心し、隣の呼吸を数えるうちにいつしか眠りに落ちていった。
END
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作者名:彩楓 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/myeighterot/
作成日時:2016年12月9日 8時