孤独の炎と差し伸べる手 (ページ10)

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コウside
バンバが意識を失ったと連絡を受け、駆けつければトワと共にバンバの手当てをしてくれたリュウソウ族の女性がいた。
トワに“なっちゃん”と呼ばれたリュウソウ族の彼女は、実はカナロとバンバを襲った人って言うことは、ご飯を食べた後にバンバが話してくれて知った。
そして、彼女の本当の名前がセナだと言うことも。
バンバはセナと口喧嘩のようになっていた時、「ナダと同じだな。」と言った。
セナもまた、俺達の見えない何かと戦ってるのかな。
そしたら、俺達がまた手を差し伸べれば、この手を握ってくれるかな。
ナダだって、そうやって助けてあげたんだ。
そして、俺達の強力な仲間になるはずだった。
…はずだったんだ。
ウデンの件がなければ。
俺は、マックスリュウソウチェンジャーを磨きながら、ベランダに出て己の考えに浸る。
セナがこの町に来たのも、ナダが亡くなってすぐだって聞いたから、ナダの訃報を風の便りか人伝に知ったのかな。
リュウソウ族はそう言うことには敏感だから。
俺は、夜風にあたりながらセナの事を思い出した。
ほんの少ししか会えていないけど、彼女の事を少し知れた気がした。
ほんの少しだけど、彼女の素に触れたような。
「セナかぁ。また会いたいなぁ。」
月を見上げ、「ね、ナダも会いたいよね。」と上機嫌に問いかけ、アスナから貰ったイチゴミルクの飴ちゃんを舐める。
ほんわかする味が口の中を満たし、幸せでいっぱいになった。
だが、突然ゾクッッという悪感を感じ、俺の目付きは変わる。
幸せは闇に呑まれ、冷や汗をかく。
飴ちゃんをガリッと噛んで、無理やりゴクンと飲み込む。
「…なに、これ。」
俺は嫌な予感がして、メルトやアスナにバレないように龍井家を飛び出した。
月が綺麗に見える夜。
俺はリュウソウケンとマックスリュウソウチェンジャーを構えて、ただひたすら走る。
「あっ…！！」
ミエソウルを使って対象の人物を見つけ出せば、俺はそこへ向かって走り出した。