孤独の炎と差し伸べる手 (ページ23)

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#23 ページ23

バンバside
リュウソウブラックに変身しリュウソウケンを片手にドルン兵を倒していく中で、倉庫の奥でワイズルーがセナを逃すのを視界の端に捉えた。
良かったと思ったのも束の間、クレオンが何かをセナの背中に向けて投げた。
「セナ！！危ない！！！」
俺の叫びは、遠くの彼女に届いただろうか。
彼女は、振り返る間もなくその弓矢のような矢に貫かれた。
ハタと立ち止まった彼女は血を吐き出しながら、ゆっくりと倒れ込んだ。
彼女の手には、ナダの剣がしっかりと握られている。
残りのドルン兵をメラメラソウルで燃やし尽くし、変身解除をしながら彼女へ駆け寄る。
血の池の中央に倒れている彼女をゆっくり抱き抱える。
「おい！！しっかりしろ！」
彼女は、目を虚ろにさせて涙を溢した。
そして、小さく呟いた。
「これは、天からの罰なの。きっとマスター達がお怒りだから…こんなことになったんや。」
「違う！！断じて違う！これはクレオンの仕掛けた攻撃だ！！」
俺がそう何度も説得をしても、彼女は小さく首を横に振るだけ。
「私は最後まで落ちこぼれのリュウソウ族やと思ってた…。」
「何を言ってるんだ。お前は、一人前のリュウソウ族だろ。」
「ううん、今の私はまだ一人前になれへん。せやけど、これを託せば私も一人前になれる。」
「それは、どういう意味だ？」
彼女は自分の耳に付けていた、リュウソウ族の証のイヤリングを俺の耳につける。
「…うん、似合ってる。」
「これはお前の物だ。お前が持つべき証だ。俺が持つべき証ではない。」
返そうとする手を血濡れた彼女の手が制する。
「いいえ。これからはバンバ、貴方の物よ。」
口の端から流れる血に、俺はそっと指で拭う。
「貴方にまた会えて、良かった。この世界を頼んだで…。バンバ……。」
俺に震える声で伝えて、ひと息ついた彼女は目を閉じて動かなくなった。
彼女が持っていたナダの剣が、血濡れた地面に転がり落ちる。
彼女の前だと我慢していた俺の叫びは、その倉庫に木霊した。
「セナ！！！！」
そして、彼女の体が光輝いて星屑となる。
星屑は俺の掌に集まって、そこから1つのソウルが生まれる。
掌にあるリュウソウルは、ラベンダーカラーの淡い紫色の優しげな空気を纏っていた。
まるで、セナがこの中にいるみたいだ。
俺はナダの剣を背負い、リュウソウルを握り締めて立ち上がって、後ろにいるドルイドン、特にクレオンを睨み付け声を荒げた。
「ドルイドン、、許さん！！」