孤独の炎と差し伸べる手 (ページ22)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:22,625 hit

#22 ページ22

セナside
金属の掠れる音が聞こえて、ふと気がつけば見覚えのある倉庫の中で腕と足をロープで巻かれ、冷たいコンクリートの地面に横たわっていた。
「やぁ！Lady、お目覚めかい？」
「ワイズルー。」
ぼんやりと見えた青い影と声に、その正体はワイズルーだということに気づく。
「なんで？私を騙したの？」
「NonNon！勘違いしないでくれ、セナ。私はプリシャス様に命じられて動いたまでだ。私としては、これ以上観客がいなくなるのは悲しすぎる出来事なんだ。プリシャスさえ来なければ、私は君をこんな扱いしないよ。」
「プリシャス？あー、もう来たのね。早すぎない？ワイズルー、あんたは一々やることが紳士過ぎるのよ。有り難いけど。」
「プリシャスは、一刻も早くリュウソウジャーを仕留めるためだと言っていたよ。勿論、君もね。」
私の首を掴んでゆっくりと立ち上がるワイズルーに、呼吸が上手くできず反抗する事もできない中で言葉を繋げる。
「何で…私？リュウソウジャーを…仕留めるのは私の…役目だったはずよ。」
「クレオンから聞いたぞ。君はリュウソウブラックとの旧友の仲だと。」
とぼけたはずなのに、ワイズルーはグッと顔面ドアップにしながら、首への力を込める。
「やめて…。死んじゃう…。」
「人の命は儚い！脆い！良いことじゃないか。来世はリュウソウ族に生まれなければ良い。」
「それは私が決めることじゃない。」
「それもそうだな。」
とワイズルーが悩み出したその時、鋭い怒号が響いた。
「ワイズルー！その手を離せ！！」
その声の元をワイズルーと共に目線を向ければ、そこにはリュウソウブラックに変身したバンバがいた。
「バンバ。」
「ちぇ、リュウソウブラック！もう来やがったな！ええい！ドルン兵やっちまえ！」
クレオンがどこからか出てきて、ドルン兵を呼び出す。
ワイズルーは、十字架の処刑台に移動させ手首と足を鎖で巻き付けた。
首から手が離れた途端、ワイズルーはドルン兵と苦戦するクレオンをチラ見してから私の耳に囁いた。
「クレオンがドルン兵とリュウソウブラックの交戦をしている間、君は逃げろ。」
「へ？なんて？｣
「言っただろう。私はこれ以上観客がいなくなるのは悲しすぎると。あえて鎖をゆるくしてある。不屈の騎士の絆がある君になら、いとも簡単に抜け出せるだろう？」
そして逃げ出した…はずだった。
後ろでバンバの叫び声が聞こえた直後、何かが私の背を鋭い矢が突き刺し、その部分から血が溢れだした。