孤独の炎と差し伸べる手 (ページ21)

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#21 ページ21

バンバside
旅に出ると言い出したセナを見送るべく、俺は再開を果たしたあの公園までの道程を歩いた。
そして、あの大きな木の下でセナから告げられる別れの言葉。
ガイソーケンは策があるコウに預けたと言うので予め持ってきていたナダの遺品を手渡した。
ナダがガイソーケン以外で肌身離さず持ち歩いていたあの長剣と鞘だ。
俺にはリュウソウケンがある。
だから、ナダの長剣はセナに持っておいてほしいと思ったのだ。
セナは俺から長剣を受け取って、優しく鞘を撫でた。
ふわっと香る、あの懐かしい匂いに思わず笑みを溢す。
「ほな、ぼちぼち行くね。」
「あぁ。」
「またね。バンバ。」
「また、な。」
これが別れ等ではない。
また生きていれば会える。
泣かずにセナを見送ろうと決めたのにその瞬間になってみて、涙が込み上げてくる。
俺に背を向けて歩き出したセナの後姿が涙で歪んで見える。
だが、何処からか現れた見慣れた毒キノコの姿に俺の涙は引っ込んだ。
「地獄つき！！！」
セナの顎をぶん殴った緑の毒キノコの姿。
まるで映画のワンシーンのようなスローモーションで倒れていくセナの姿が俺の瞳に映った。
「セナ！！！！！！」
俺の叫びと駆け出した足は愚か、クレオンは気を失ったセナを担いで逃げてしまった。
俺はナダの長剣を拾い上げ、リュウソウチェンジャーでコウ達へ知らせるべく、ボタンを押し続けながら走り出した。
「みんな！！！セナがクレオンに拐われた！！これはドルイドンの罠かもしれないが、念のために俺が先にクレオンを追っかけるから、その後に皆も来てくれ！！」
俺の声が届いたのかリュウソウチェンジャー越しのコウの力強い返事が返ってきた。
「キケソウル！！」
〔キーーーン〕
俺はキケソウルをリュウソウチェンジャーに装着し、耳を研ぎ澄ませれば、聴こえてくる。
ジャラジャラと鎖が揺れる音とクレオンの声が聞こえてくる。
俺はその場所をクンクンソウルで嗅ぎ付け、走り出した。
「頼む…無事でいてくれ！セナ！」
そう願いながら走り続けた結果、辿り着いたのはナダの命が散ったあの使われていない倉庫だった。
またこんな形でここへ来るとは思ってもいなかったが、俺はリュウソウチェンジをしてリュウソウブラックへ変身し、リュウソウケンの柄を握り直し、静かに中へ踏み入れた。