孤独の炎と差し伸べる手 (ページ19)

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#19 ページ19

セナside
それから翌日の昼。
骨折してしまった腕を、尚久さんのお友だちの病院のお医者さんにギプスやらなんやら後処置をしてもらって、今の私の左腕は使えなくなってしまってる。
「痛そう…」
「そんなことないよ！でも、まぁ動かすと痛いけど。」
龍井家に遊びに来ていたトワが、私の肩を見てあらかさまに顔を歪める。
「無理に動かすな。」
「なん、分かってるもん。」
「ナン？」
バンバの注意にプイッとそっぽを向きながら答えると、私の省略語の意味がわかってないのかコウが首を傾げる。
そして、私はボーッとしてるアスナが持っていたポテチの袋から、ポテチを2枚取り出してパクッと口に加えた。
するとボーッとしてたアスナがハッとして、後を追うように必死な目で騒いだ。
「あ～！！私のポテチ！」
「アスナがボーッとしとるから、隙がつかれていけないんやで～！！！」
意地悪ながらそう言うと、アスナはションボリして、「いいよ、全部あげる。」と言い残して２階の部屋へ行ってしまった。
アスナの様子と私を交互に見る男達。
その視線を感じて、ポテチを口に運ぼうとした手を止める。
「え、私、なんかした？」
「セナがって訳じゃないけど、アスナの様子が変なんだ。見に行ってくれないか？」
メルトにそう言われて、私は縦に頷きラボを出ていった。
勿論、目指すは２階にあるアスナの部屋。
と思いきや、アスナは２階へ続く階段の後ろ側にある物置にいた。
「…アスナ？どうしたの？」
恐る恐る声をかければ、アスナはしゃっくりをあげながら小さな嗚咽をあげていた。
「…アスナ？ちょっと大丈「セナ、ごめんなさい！」え？」
アスナは私の方を振り返って頭を下げた。
「私が肩をたたかなかったら、こんなことにならなかったのに！」
どうやらアスナは私の肩を叩いて骨折させてしまったことを後悔しているようだった。
「…アスナ。大丈夫だよ。」
私はアスナにゆっくり近づいて、肩の負担をかけないようにそっとアスナを抱き締めた。
アスナを刺激しないように優しい声で。
「私は大丈夫。このくらいの怪我なんて１週間もあれば治っちゃうんだよ。私もリュウソウ族だからね。」
「…セナ。」
「だから心配しないで。私は大丈夫。」
もう１度優しく抱き締めれば、アスナは震える手で私の腰に腕を回した。
そして、声をあげて泣いた。
「うわぁぁぁん！！」
その声は、ラボにいた男子達にも聞こえていたようだけど、深く追求しないでくれた事に感謝する。