孤独の炎と差し伸べる手 (ページ17)

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#17 ページ17

セナside
コウが突然ここへ来たと思えば、仲間とはどういう者なのかを語りだした。
そして確信した。
コウは、知ってるんだ。
私の唯一の弱味を。
その場で膝から崩れ落ちた。
強気でいようと頑張るけど、胸がギュッと締め付けられて、涙が溢れてくる。
涙でコウが歪んで見える。
コウはなんでこんなに優しいの。
「本当はセナだって、俺達と仲間になりたいって思ってるんだろ？」
私に手を差し伸べるコウ。
コウは救おうとしている。
唯一の支えだったナダを失った事を風の便りで知って、自分を見失いかけている私を。
私はそっとコウの手を掴んだ。
コウは私の手を掴んだまま隣に座った。
そして語りだしたのは、ナダが亡くなったその日の出来事だった。
「…ナダはね、俺に言ったんだ。“俺のソウルをお前に託す。みんなを救え、コウ。”って。俺は2人も犠牲者を増やしてしまった。でもね、俺がこうして強く生きていけるのも、その犠牲の上に立っているからなんだ。2人が俺をすぐ近くで支えてくれるから。」
そう語るコウの瞳はどこか懐かしんでいて、でもとても真剣でかっこよかった。
私の方を向いたコウは私の手を強く優しく包み込みながら、言葉を続ける。
「俺もナダの事を乗り越えるのに少しだけ時間かかってたんだ。だから、セナが理解するのに、時間がかかるのも分かるよ。ナダがセナの幼馴染みなら尚更。俺もメルトやアスナが永遠に会えないなんて事になったら、立ち直れないよ。正義ではない道に走ってしまうのも分かる。これは、1人で乗り越えられない大きな壁だよね。でも、1人じゃなくて皆でなら乗り越えれると俺は思うよ。夢は1人より皆で叶えたら直ぐだろ？それとおんなじ！」
最後に太陽のような笑顔を向けられた私は、もうこれ以上コウに敵わないと思った。
既にコウの調子に飲み込まれている。
ナダが闇から光へ導かれた意味も分かった。
この眩しすぎる光に背を向ける事は不可能だ。
「だから、俺達と一緒に乗り越えよう！セナ！それに俺達はセナを絶対に独りにさせない。必ずこの世界を救って、笑い合える未来へ導くんだ。あ、それと、ガイソーケンは俺に預けてくれない？」
「…え？」
「良い案浮かんじゃった！」
「…いいよ。」
私は左手で持っていたガイソーケンを預けた。
「ありがとう！」
ガイソーケンを大事に受け取ったコウは立ち上がった。
「ラボへ帰ろう！皆が待ってる！」
「うん！」
コウの言葉に私は自然に笑った。