孤独の炎と差し伸べる手 (ページ11)

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#11 ページ11

セナside
「…はぁ。」
大きなため息をつきながら辿り着いたのは、ガイソーケンを拾ったあの倉庫。
手に持ったガイソーケンが鉛のように重い。
ガシャンッとガイソーケンを滑り落とし、私は力尽きたようにその場から倒れた。
私を支配する怨念や憎いからと沢山の人間の首を取ってきた多い重なる罪が、私の背中を押し潰す。
「う”あ”っ…。」
難とも言いがたい圧迫感が私を襲い、物凄い吐き気と頭痛がする。
こんな苦しみをかつてのナダもしていたかと思うと、ふと体が軽くなる。
「はは、、」
乾いた笑い声が倉庫に響き、私は目を閉じる。
これで私の命が尽きれば、誰も苦しまずに済む。
苦しむのは、自分だけで良い。
そう思って暗闇に沈もうとした時だった。
「セナ！」と呼び起こす声がした。
この声は、バンバじゃない。
一体誰だろう。
うっすらと目を開ければ、真っ赤な服がちらつく。
あぁ、あれはコウ、か。
陸のリュウソウ族でリュウソウジャーのリーダーだと聞いた。
あのコウが、なぜこんなところに。
「セナ！！しっかりして！」
コウが私を抱き上げ、自分に引き寄せると、必死に声をかけてくる。
ポタポタと吐血をした口から滴る血を見て、目を見開いたコウが懐からハンカチを取り出して、私の口元を拭く。
「その血！どうしたの？誰にやられたの？ワイズルー？クレオン？それともマイナソー！？」
「ちが、う。」
「じゃあ、誰が。」
「わたし、だよ。コウ。」
「え、なんで？なんで自分を自分で傷つけるの！たった1つの命なんだよ！命を無駄にしちゃダメだよ！」
ナダの事があったからか、涙をポロポロ溢しながら私を説得しようと直向きに頑張るコウを見て、顔を歪ませた。
「私が、あの剣を握り、数えきれない程の罪を犯してきた。これはその償いだ。命なんて関係ない。こんな命、今すぐに散らせられる。」
私は傍に落ちていたガイソーケンを握り、剣先を心臓へ突き立てたが、震える剣先にコウが気づき、赤く鋭い爪のような武器でガイソーケンの剣を取り上げた。
「生きたくても生きれなかった人もこの世界の何処かにいるんだ！その人の為にも生きて！」
「名も顔も知らない誰かの為に私は生きるのか？」
「俺達は生まれてきて、巡り会えたんだよ！ダメだよ！自分の命を自分で絶とうとしたら！そんなことしたらナダが怒る！」
ナダ、その名を聞いてピクリと反応する。
私はこの名前に弱いのかもしれない。
そう考えに至り、私は弱々しく微笑んだ。