薄曇たなびく麓で (ページ5)

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モトキside

俺達は、シルクに廊下へ追い出され、しばらく病室の向かい側にあるソファーで俯いていた。

病室からは、シルクの悲痛で泣き叫ぶ声が聞こえる。

シルク「俺、もっとやりたいことあったのに…！！なんで…なんで……！！！！」

俯いて黙りこむ俺達は１人ずつ病室の前から居なくなっていった。

ザカオにダーマ....

ぺけたんとンダホ....

残された僕とマサイは、帰らず、ただひたすらにシルクの声に耳を傾けていた。

僕たちより悲しむのはシルクの方。

俺たちが凹んでたらシルクのいつもの笑顔が見れなくなる。

すると、そこへ担当医の竜崎さんがやってきた。

『モトキさんに、マサイさん。少しお話があるのですが宜しいですか？』

竜崎さんは俺たちを休憩室へ連れてきた。

『絹張さんを個室から複数の患者さんがいる部屋に移したいんですけど、どうなられますか？』

マサイ「えっとー、それは、予定されてる部屋には何人、他の方が？」

『１人です。』

ぼくら「「ひとり？」」

『その患者さんは、女の子で、絹張さんと同じ癌患者です。大人しくて笑顔が素敵な18歳の子です。』

「18歳....若い....」

『そうですね、その年で亡くなられる方は確率的には低いんですがね。』

マサイ「その子の余命は？」

『あと１ヶ月だと思います。絹張さんより先に旅立たれる予定です。』

「その子に家族は？」

『居ますけど親戚でね。両親は事故でなくなったらしいんだ。』

「そうですか…分かりました……」

マサイ「その子と諒を同じ部屋にしてくれませんか？」

「えっ、マサイ！だけど！」

マサイは焦る俺にウィンクをした。

きっと何か考えでもあるのだろう。

俺は素直にマサイに従うことにした。

これはシルクのためになるかどうか分からない。

でも、俺らはシルクの笑顔を取り戻したい。

その一新で、この依頼を引き受けた。