ありがとうとさようなら (ページ42)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:82,783 hit

#40 ページ42

薫side

今、マサイとザカオと夜のお散歩中。

薫“生まれ変わったら何になりたい？”

ふたり「「生まれ変わったら？」」

薫“私は普通の人間になりたい”

ふたり「「え？」」

薫“任務とか縛りとかなしに....例えるならシルクのような人間になりたい”

マサイ「シルクのような...」

薫“私、生きてるとき、シルクの動画を沢山見てて羨ましかった。自由で無邪気に笑う笑顔が羨ましかった。私には笑う権利も自由になる権利も何もなかったから。でも、シルクに出会って過ごしてみて感じたの。シルクは特別でもなんでもない。普通に過ごしてるんだって。特別に感じてたのは私だけなんだって。”

ザカオ「確かにシルクは自由奔放で無邪気な男だよ。羨ましくなるのは誰でもそうなんじゃない？？」

マサイ「俺は中学の頃、シルクのことは苦手だった。キラキラ輝いてて笑顔が可愛い奴なんかと意気投合できるわけないって思ってたけど、意外とそうでもなかったりするよね。」

ザカオ「うんうん。」

そのあと、二人は話が弾んだのか何か話していた。

え？なにも聞こえなくなっていた。

薫“ねぇ、ふたりとも....”

私は話しかける。

二人は気がつかない。

薫“えっ...命の期限がきてる....”

透けていく両手を見つめてそう呟いた。

ちょっとふたりから離れた所でマサイが気がついたのか、私のところに駆け寄ってきた。

マサイ「薫ちゃん？！」

ザカオ「透けてく....？！」

私は肩を震わせて泣いた。

もう、この世界に居られなくなるまでそう時間はかからないということを知ったから...。

シルク....ごめんなさい。

私、もうそんなに幽霊として生きれない。

ずっと一緒に居られない。

薫“マサイ、ザカオ。私、シルクの家に行ってくる。”

ふたり「「分かった。おやすみ。」」

薫“うん。おやすみ。”

私は急いでシルクの家に飛んでいった。

シルクの家につくとリビングの扉を開けた。

シルク「あ、薫か。どした？」

薫“私はもうシルクと一緒には居られない。”

シルク「突然何を言うんだ？なぜ一緒に居られないんだ？」

薫“たとえ私に命の期限がきても？さようなら、シルク！”

シルク「あ、おい！ちょっと！待てよ！」

私はシルクが止めるのを無視して夜空へ飛んでいった。

私は皆の笑顔を眺めた、Fischer'sの原点の土手で静かに泣いていた。