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pipipipi
枕元で鳴る電子音が聞こえてきて、徐々に意識が覚醒してくる
どこで鳴ってるのか分からなくて、片手を伸ばして自分の携帯を探すけど……ない
あれ？
どこに置いたんだっけ？
pipipipipi
寝る前にどこに携帯を置いたのかを必死に思い起こすけど、全く思い出せない
やばい、失くしちゃった？
pipi
どこに置いたのかを思い出そうとしていると不意に電子音が止まった
どうして？
どうして急に止まったのかと目を開けると翔くんの背中が見えた
何も身に纏っていない背中を見て、急激に昨夜の記憶が蘇ってくる
「おはよ、ごめん、俺のせいで目覚めちゃったね」
『大丈夫、いま何時？』
「7時、A、仕事は？」
『今日は遅出だから、11時に病院に着くように行かないとだめ』
何とも言えない気怠さがあって、出来る事なら休みたいなんて自分勝手なことを考えてしまう
「そっか…」
『翔くんは？』
「あと30分で迎えが来る」
なるほど、そういうアラームだったんだ
「…大丈夫？」
『大丈夫だよ、
すぐ帰るから、ごめんね』
「いや、そうじゃなくって！
……身体、大丈夫？
俺、けっこう好き勝手したから」
気まずいのか段々と声が小さくなっていく翔くん、
『ちょっと怠いけど平気だよ、
ごめんね、朝ごはんぐらい作れば良かったね』
「俺んちの冷蔵庫、何も入ってねえよ？」
『じゃあ、いっか』
「おい！
…でも冗談抜きでさ、そんな気使わなくていいから」
〈大丈夫〉を伝えるように翔くんが手を握ってくる
『ありがとう、
翔くん、時間大丈夫？』
「あ、そうだ！
俺時間無いんだった！
シャワー先に浴びるよ？」
『どうぞ、どうぞ』
「…一緒にぃとかないの？」
『また今度ね』
わたしの返事に「ははっ」と大きく笑うと翔くんは下着だけ履いて寝室を出て行く
……7時
一旦家に帰って、着替えなきゃだな
『ふぅ〜』
上半身を起こして頭がしっかり覚醒してくる感覚を味わう
「A？」
『はい』
「ごめん、俺もう出ちゃうけど
シャワーとか家にあるやつ適当に使って良いからね」
『うん、ありがとう』
翔くんがベッドに近づいてくる
あ、まだ髪が乾ききってない
大丈夫かな、翔くん風邪引いたりしないかな
prrr prrr prrr
少しくぐもったような着信音が聞こえてきた
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作者名：water lily
| 作成日時：2018年10月14日 14時
