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リビングでAを落ち着かせて、話を聞いてみると何となく電話で泣いてた理由が理解できた
要は、同じパンプスを履いてた子が事故にあった、それを偶然だと思えず、自分もそうなったらどうしようって怖くなったってとこか
普段なら「ただの偶然だよ」って笑ったかもしれないけど、
俺に会えてない故の不安が募って、他人を他人だと思えなくなったんだろうな
「もう大丈夫だよ」
『…大丈夫なんて誰にも分かんないよ』
「俺がいるから」
『事故に遭う時は遭うんだから』
「たとえ事故に遭ったとしても、
俺がAを放っておくと思う？」
『……』
「もしそうなったら、自分の持ってる力を全部使ってでも、A助ける方法を考えるよ」
『たとえば？』
「たとえば、そうだなぁ」
『……』
「たとえば世界で1番腕の良い医者が探して、日本に連れて来るとか」
『それ、すっごいお金掛かるんだよ？』
「金払ってAが助かるんならいくらでも払うよ」
『…ありがとう』
「どういたしまして」
少しでも不安がなくなるようにと、抱き着いてきたAをしっかりと抱き返す
『…翔くん？』
「んー？」
『…今日泊まってもいい？』
俺が断るかもと思ってか、Aは顔を上げないまま聞いてくる
「逆にこの状況で俺が返すと思う？」
『……』
「泊まってってよ、一緒にいよ」
『うん、ありがとう』
「ほら、また泣く〜」
まぁこれは嬉し涙だって分かってるから良いんだけどね
「風呂溜めたから、先に入っておいで」
『…うん』
「風呂入って温めて、その後で目冷やさないと」
『うん』
「こないだのTシャツ置いとくよ」
『うん、ありがとう』
「どういたしまして」
Aを先に風呂に行かせて、パジャマ代わりのTシャツを持って来ようとリビングを出る
その時、ふと、Aを不安にさせたパンプスはどれだ？と玄関に立ち寄ってみる
「お前か、俺の彼女を不安にさせたのは」
何の飾り気もないベージュのローヒール、
うちのシューズボックスを開けてみても、Aが履けそうな靴は入ってない
あれだけ不安になってんのを見ちゃうとね、これを履かせるのも若干の抵抗が俺の中にもある訳で
「仕方ないのは分かんだけどさぁ」
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作者名：water lily
| 作成日時：2018年10月14日 14時
