最後の恋 (ページ39)

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『おはようございます』

8時前に手術室に入って、9時から始まる手術の準備を始める

それぞれが器械出しをするオペの準備をする中、オペ室全体はすごく静かに感じる

オペ室が活気づくのは9時を回ってから

一旦スタートすれば次に静かになるのは最後のオペが終わり、患者さんが退室した後

だからなのか、静けさを名残惜しむように、オペ看は基本的にはあまり始業前におしゃべりはしない

部屋の準備が終わる頃には8：30になっていて全体朝礼をして、それぞれが担当の手術室に入って行く

Dr「胆嚢出るよ」

鏡視下胆嚢摘除術(通称ラパコレ)が順調に進む中、執刀医が胆嚢を取り出した

時計を見ると11時を回った頃で

翔くんは今頃何のお仕事してるのかな

テレビや雑誌で見る以外にもお仕事はたくさんあって、表に見せる以外に裏でそんなに努力してるんだと付き合ってから知って驚いた

術野から渡される胆嚢を受け取ろうと椅子から立ち上がった瞬間に、今朝の靴擦れが傷んだ

『痛っ』

小さな声が出たけどマスクのおかげか誰にも聞き取られる事はなく、器械出し看護師から胆嚢を受け取る

…靴擦れするからって履かないようにしてたのに、どうしてあのパンプス履いたんだろう

『まだマシな方かな』

昼休み、ロッカールームで踵の絆創膏を交換しながら思わず顔をしかめた

もっと酷いと皮がめくれたりするけど、今日のはまだ赤くなってる程度だから、すぐに良くなるはず

休憩室から出て、午後からのオペを準備しているとPHSを耳に当てたままのリーダーが慌てて入ってくる

三浦「A！今から20分後！ドクターヘリ症例が来るから、器械出しについて！」

『分かりました！』

準備していた手を止めて、三浦さんの後を着いて緊急オペの情報をもらう

三浦「さっきドクヘリが患者を拾った、交通事故で意識不明、現場のFASTで陽性、ここ着いたらすぐに開腹するぞ」

『分かりました、外回りと執刀医は？』

三浦「外は大和、執刀医は西島！」

『了解です』

開腹オペの準備をしに展開室に向かう途中で、同じように廊下を猛ダッシュする大和とすれ違う

『大ちゃん！』

「オペ室は7番！よろしくな！」

必要な部屋番号だけ教えてもらって器械の準備を始める

外科医によって必要な物が違うから、執刀医は判明してるのは大きな情報になる

西島先生の開腹オペに必要な物を急いで集めて開けていく