最後の恋 (ページ35)

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いくら恋人同士になったと言っても、こんなに簡単に自宅の鍵を渡してしまって大丈夫なんだろうか？
……翔ちゃんの安全管理が心配になるよ

「俺、Aちゃんの事は信頼してるから。

もし万が一だけど、裏切られても仕方ねぇなって思えるぐらい惚れてるよ？」

『裏切らないよ』

「知ってる、

だから渡した」

翔くんの真っすぐで大きな目を見れば、信頼が伝わってくるけど、この信頼にどう返事をすればわたしの気持ちが伝わるのか分からなくて

「うおっびっくりしたー」

思わず翔くんに抱き着く

『ありがとう』

「どういたしまして」

ゆっくりと翔くんの大きな手が背中を何度も上下する

その手からはしっかり愛情が伝わってきて、抱き着いた手に力を込める

片想いで良いなんて嘘なの、

やっぱり自分の好きな人に思われる両想いでありたい

『わたし、うちの鍵持って来てないけどいい？』

「それは今度の楽しみに取っとくよ」

ゆっくりと体を離すと目が合って、お互いに逸らせなかった

引き寄せられるように翔くんが近づいて来て、唇を重ねるだけのキスをする

「……」

『ふふっ

First kissだね』

「口に出すと恥ずかしいわ！」

くすくす笑い合って穏やかな時間に幸せを感じる

「先に風呂入る？」

『…翔くん先入ってください』

「俺まだ飲むから後がいい」

『わたし先に入っていいの？』

「いいよ」

急に緊張してきて動けずにいると、何を考えているのか察したのか翔くんが大きな手の平でゆっくりと髪を一撫でする

「そんな心配しなくても大丈夫だよ、付き合って初日に何かしようなんて思ってない

付き合った途端にガッついて嫌われたら困る」

『…本当に？』

「疑うね、今日は一緒にいれれば満足だよ

それよりいま敬語使ったの見逃してないからな！」

『1回だけ見逃そう？』

「罰ゲーム、何にしようかな～」

『無理無理無理』

笑ってる翔くんに手を引かれて立ち上がる

バスルームに案内してもらって細かく使い方を説明してくれる

「シャンプーとか適当に使っていいよ、

でも男もんだから女の子の髪には合わねえかな

あっ！ちょっと待って！」

何か思い出したように翔くんが洗面台に備え付けの棚を開けてガサガサと探してくれる

「これ！

前にツアーで泊まったホテルのアメニティなんだけど、これ使う？」

『いいの？』