最後の恋 (ページ26)

今日:15 hit、昨日:10 hit、合計:163,360 hit

・ページ26

毎日がバタバタと過ぎていく中で、唯一変わったことは櫻井さんとメールする回数が増えきていること

人気の嵐は年中通して忙しいみたいで、朝送ったメールの返事が夜中に返って来る事だって珍しくない

それでも律儀にメールをくれて、

予定より早く終わったからと食事に行く回数も増えて

一緒にいる時間は本当に楽しくて、幸せだけど

頭の中では、その状況を手放しで喜べない自分がいる

メールのやり取りをして、食事に行ってるからって調子に乗っちゃだめと自分で自分にブレーキをかけて

この恋に本気なれば自分が辛い思いをするだけ

櫻井さんに片想いしてる間はまだいい

でも、その先を望んだ瞬間にこの幸せは消える

どれだけのライバルがいると思ってるの？

あの櫻井さんがモテないはずがない

メールしたり、食事に行ったりしてる相手がわたしだけだと思う？

櫻井さんは一般人が珍しいだけ、

ちょっと相手にされてる程度で調子に乗っちゃダメ

♪

もう寝ようとベッドに入ってしばらくすると、スマホに着信音がして、見てみると櫻井さんからで心臓の鼓動が一気に速くなる

〈お疲れ様、もう寝てる？〉

そんなに時間は経ってないはずだけど、いま何時だろう？

0：20

確かに深夜、まだ仕事してるのかな

≪起きてますよ、まだお仕事ですか？≫

〈さっき終わって帰りの車の中、明日は何か予定入ってる？〉

明日？……明日は何も入ってない

≪空いてますよ～、櫻井さんはお仕事？≫

〈そう、でも夕方から予定が空いてさ、明日会えないかな？〉

櫻井さんと会う時はいつも前日に決まる事が多い

わたしは何時でも会えるだけで嬉しいけど、櫻井さんは「女の子を夜遅くに歩かせられない」と会う時間まで気にしてくれて、本当に優しい人だなと思う

でも、そう思う度にきっとわたしは手の平で上手く転がされてるんだろうなと思う

櫻井さんはさりげなく椅子を引いたり、ドアを開けて先に通してくれたり、どうすれば女の子が喜ぶのか心得ている

テレビで見る時は『翔ちゃん、かっこ良い』なんて無邪気に言ってるけど、いざ本人を目の前にするととても『翔ちゃん』なんて言えなくて、『櫻井さん』と呼んでしまう

この前は「そろそろ下の名前で呼ばない？」て冗談交じりに言われたけど、やっぱり『櫻井さん』が精一杯で苦笑いされてしまった