最後の恋 (ページ20)

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久しぶりにアルコールを飲んだせいか、10時ぐらいまでぐっすり眠ってしまっていた

すでに習慣になったスマホチェックをすると、メッセージが1通きていた

藤野〈今日の夜って空いてるかな？〉

届いたのは9時前で、この時間だともうオペに入ってるから返事は来ないだろうなと思いつつ〈予定はないですよ〉と返事を送る

帰国して1週間はリフレッシュ休暇ということで休みをもらってて、のんびり過ごすつもりだから特に予定はない

藤野(今日の19時から食事にどう？って櫻井が言ってるんだけど)

『え？櫻井さん？』

まだ眠気が残ってたのに、一気に目が醒めた

ガバッと起き上がって、藤野先生からのメールを読み直す

『え、本気なのかな』

起き抜けの頭で考えるけど、ここで行きますって言うのも厚かましい気がするし、行きませんって断るのも違う気がする

なんて返事するのが正解なんだろう？

そんな事を考えていると持ってたスマホに藤野先生から着信

『お、おはようございます』

藤野「その声は寝てたなー？俺なんて9時から外来やってんのにぃ」

『久しぶりに飲んだから、思ってた以上にお酒まわちゃって…』

藤野「昨日のこと覚えてる？」

『記憶なくなるほどは酔ってません』

藤野「良かった、昨日帰りに電話したら、ちょうど都合つく日が今日しか無いらしくてさ。

もしAちゃんさえ迷惑じゃなければって言ってんだけど、どうかな？」

いや、いや昨日の今日で櫻井さんと会うの？わたし

『……』

帰って来たばっかりで、髪だって伸びてるし

藤野「おーい、寝てる？」

『起きてます！

…行っても大丈夫ですかね？』

藤野「？

大丈夫でしょ、後はメールに入れとくから」

バタバタと決まったけど、えーーー？

急に決まった今夜の予定に、美容室に行って、着て行く服選んで・・・思ってるより時間が少ない気がしてくる

昼過ぎにもう一度藤野先生から、お店の場所と予約してる時間が送られてくる

『盛大なドッキリとかじゃないのかな？』

……もうここまで来ると現実だと思う方が無理があるよ

美容室で2時間過ごして帰って来ると、今度はクローゼットの前で1時間悩むことになって

『なに着て行けばいいの？』

無難にワンピース？っていうかワンピースって無難なのかな？

いや、さすがに気合い入り過ぎって思われるよね

『…もう分かんないよ』