To love is to suffer (ページ7)

今日:23 hit、昨日:23 hit、合計:109,937 hit

7 ページ7

「体調は聞いてないよ。山Pと上手くいってる？」

最近どう？の意味はそっちか…

周囲をさっと見渡して誰もいない事を確認する

『お互い映画のお仕事をもらってるので…ほとんど会ってないです。』

彼と仲の良い先輩に嘘をついても時間の無駄だから、正直に答える。

「そうだよね。撮影が入ると時間なくなるもんな。」

『…』

この世界でわたしよりずっと長く働いている人の言葉は現実味があって、苦笑いしかできない。

芸能人同士の恋人はみんなこんな想いを抱いているのだろうか

『昨日もメールくれたんですけど、疲れて眠た過ぎて返せなくって。

疲れてたなんて言い訳ですよね。

疲れてても、忙しくても、彼はわたしにメールをくれたのに。』

「この世界で仕事してると難しいよね。

不規則なんて言葉じゃ足りないぐらいの不規則だからさ。」

松本さんはわたしの話を聞いて、非難するでもなく、肯定するでもなく、頷きながら話を聞いてくれた。

「でも、出来る時で良いから、メール返してやって？

男はさ、好きな女から連絡あるとそれだけで頑張れる。

単純な生き物だよな」

ニヤっと笑って松本さんはそんな事を言ってくれた

「お待たせしました。リハーサル始めまーす！」

スタッフさんの撮影開始の呼びかけでパイプ椅子から立ち上がる。

きっと智くんも今頃撮影してる…

今日の撮影が終わったら、メールじゃなくて電話をしてみよう。

そんな事を考えるだけで、笑顔になれるわたしは
自分で思っていたよりも単純だったみたい。

ー 23時半ー

「これで本日の撮影は終了です。お疲れ様です！」

『お疲れ様でした、明日もよろしくお願いします。ありがとうございました。』

セットや機材を片付けているスタッフさんに挨拶をして、現場を後にする。

崎「まっすぐ家に向かえばいい？」

『はい、お願いします。』

車に乗って、10分もしない内に眠ってしまっていた。

崎「怜理、着いたよ。疲れてるね、明日は7時に迎えに来るから、早く寝てね。」

次に起きたのは崎さんがわたしを呼ぶ声で、マンションに着いたのだと気付いた。

『すみません、寝ちゃってた。 7時ですね、よろしくお願いします。』

エレベーターの扉が閉まるのと同時に携帯を取り出してコールする。

相手はもちろん智くん

もう今日の仕事は終わってるかな？