To love is to suffer (ページ6)

今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:109,884 hit

Prisoner Of Love ページ6

これは彼と彼女の2008頃のおはなし…
(山下智久(23) 鬼頭怜理(20) )

『ただいま～』

2日振りの我が家は真っ暗で、わたしの声に返事をする人だって当然いない。

1人暮らしを始めて半年もすると、ただいまおかえりのやり取りが無い事にも自然となれてしまう。

『はぁ…』

お気に入りのソファに座って目を閉じると、勝手に溢れてしまう溜息

今は映画の撮影中だからか、自然と溜息の回数も増えている気がした。

映画はドラマよりもスケールが大きいから、当然撮影の規模も大きくなる。だから、疲れる度合いも大きくて…

もう2時か…

朝もなく夜もなく撮影をしていると時間の感覚が狂うのかこの時間が早いか遅いかの感覚も無くなる

『早く寝よう』

睡魔に負ける前にシャワーを浴びて、ベッドに入らないと、また昨日のようにソファで目を覚ます事になってしまう。

アラームをセットして、ベッドに潜り込んだ頃、携帯がメールの受信を知らせていたけど、

一度閉じた目をもう一度開ける力は残っていなくて、

吸い込まれるように眠りに落ちていった。

ー翌朝ー

《1件のメールを受信しました》

携帯を見たのは迎えに来てくれたマネージャーが運転する車の中だった。

相手は智くんだった

〈今撮影終わった。そっちは？〉

わたしが家に着いた頃まだ仕事してたんだ…

お互いに映画の撮影という大きな仕事が入っているから会う回数はかなり減っていた。

向こうは初主演映画で、それこそ毎日ように撮影してる。

メールを送るのも億劫になってるのが分かった。

すれ違いで破局って適当な理由だなと前まで思ってたぇど、今ならその理由の意味がよくわかる。

だって、お互いがいなくても生きていけるんだもん

いない日常が繰り返される事でいない事が当たり前になる。

『慣れって怖い…』

崎「何か言った？」

『いえ、独り言です。すみません』

そのまま智くんへのメールを返信する事なく携帯をばカバンにしまった。

ー撮影現場ー

「最近どうなの？」

午後になってからの空き時間に台本を確認していると誰もいなかった向かいの席に座ったのは嵐の松本潤さんだった。

『どうっていうと体調とかですか？』

台本を閉じて質問の意図を図るように質問を返す。

今回の映画で初めて共演させてもらうけど、松本さんは面倒見の良い先輩タイプだと心底思っている。