女優(妻)×バラエティー収録 ページ10
これは彼(32)と彼女(28)が結婚してからの物語
カーテンの隙間から覗く空、その空にようやく太陽が顔を出そうかという頃の早朝
まだ夢の中にいたい…今日は一度出勤してしまえば、帰宅するのは深夜だが、入りは遅かったはずだ…
まだ押し寄せる睡魔を追い払えず、智久がそんな事をぼんやり考えていると、少し遠くの方で男の子が母親に何かを強請っている声が聞こえてきた。
「ママ、おかし…ください!」
『朝からお菓子はダメだよ〜。』
「おかし…しよ!」
『ダ〜メ!』
なんだ、朝からお菓子強請ってるのか、あいつ
今 何時だよ……まだ5時になったとこじゃんか…
「マァマ…め…?」
うわぁ、きっと智明(ともあき)は目に涙溜めて上目遣いしてんだろうな…
もうすぐ2歳になる男の子はまさに向かう所敵なしの〈魔王〉状態だ。
育児書なんかに書いてある 魔の2歳児 とはよく言ったものだ と起き抜けの頭で感心してしまう。
『まだ朝だし、ご飯食べてからね?』
ー怒鳴る事なく息子に根気強く言って聞かせる妻
怜理はこれが毎日だもんな、嫌になんねぇのかな…
最近の妻の口癖は『あきくん、可愛い♡』だ。
「じゃぁ、抱っこ…」
〈じゃあ〉って何だよ、じゃあって。
お菓子食べるのはダメって言われて、代わりに抱っこって…まさに魔王の考え方だ…
「きゃはっ!」
遠くで聞こえるはしゃぐ笑い声に、智久の顔にも思わず笑みがこぼれる。
息子の笑い声をBGMに智久はもう一度 襲って来る睡魔に意識を手放した。
〜1時間後 〜
「パァパ、おっきするー?」
ドーンという効果音でも付きそうな勢いで、小さな塊がお腹の辺りに飛び込んでくる。
「うっ!…あき、パパもうちょっと優しく起こして欲しい…」
「ぱぁ、きゃはっ!」
何が面白いのか布団に潜って、何度も俺のお腹にぶつかってくる。
怜理いわく あきの中で最近流行ってる〈迷路ごっこ〉らしい。
なに?迷路ごっこって…俺 自分が小さい時 こんな遊びしなかったよ?
俺 朝は弱いんだから勘弁してくれよ…なんて言い訳は少なくとも我が家の魔王には通用しない。
腹の辺りでゴソゴソしてる愛しいモンスターを両手で抱き上げて、迷路?から救い出してやる。
「パパ おきたぁ?」
何が楽しいんだ?ていうぐらいの満面の笑み
「ふっ 起きたよ。あき、何してんの?」
「めいろ! ママ、パパ起きたぁ」
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作者名:water lily | 作成日時:2017年11月12日 23時