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2hours later
『あとはフラットに閉創して、1週間は高圧酸素療法をして様子を見ましょう』
白石「良かった……藤川先生、冴島さん」
冴島「良かったっ…本当に…良かっ」
藤川の手を両手で包み込むように握りしめて、ようやく安堵した冴島の姿があった
橘「よし、ICUに運ぶぞ」
『……はぁぁ』
藤川を乗せたストレッチャーが初療室を出ていくのを見送ってから、長い溜息を吐く
「大丈夫か？」
『……大丈夫じゃない、バカ』
百合を支えるように背中に腕を回した耕作を見上げて悪態をつく
見上げたその顔は泥と土埃で汚れていて、
どれだけ危険な場所にいたのかを想像させる
「ありがとう、百合」
ずっと心配していたのだろう、
オペが終わって小さく震え始めた体を宥めるように大きな手が百合の背中を何度も上下する
『…怪我は？』
「してない、少し水と土を被ったくらいだ」
『………』
「…百合？」
『…心配した、何かあったら、どうしようって…』
「ああ」
『ああ…じゃない！
本当にどれだけ心配したと思って』
絶対に泣かないと決めていた、
耕作の姿を見るまではと気を緩めれば溢れてくる涙を必死に堪えていた
ゆっくりと膨らんだお腹を気遣いながら引き寄せられて、
耕作のスクラブの肩口に涙が滲んでいく
「心配させて悪かった、百合」
『……っ、この子にもちゃんと謝ってくれなきゃ許さない』
空いている耕作の手をお腹に持っていくと、
大きな手の平から耕作の温度が伝わってくる
「……心配かけて悪かった」
『……』
「…百合」
『……』
「…百合、」
『……いいよ、無事に帰ってきてくれたから』
『ふぁぁ〜』
あまりにも波がある1日で、控えめに言ってもかなり疲れた
ベッドに入ると、いよいよ眠気が本格的になって、
耕作が寝室の灯りを消すと今にも眠ってしまいそうで
『おやすみ』
「ああ、おやすみ」
『……』
寝ようとすると、タイミングが良いのか悪いのか、
ポンポンと力強くお腹を蹴ってくる『もう…今なの？』
「どうした？」
『きっと、この子、かまってちゃんだよ』
「動き出したのか？」
『うん、』
寝かせてくれないかなぁと眠気に傾いた頭で考えていると、
やっぱり眠気には勝てなくてすぐに眠ってしまった
「……百合？
…寝たのか」
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作者名：water lily
| 作成日時：2017年11月11日 16時
