How to save a life 2 (ページ33)

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‐集中治療室‐
『ごめん、この患者さんのドレーン抜去をしたいんだけど』

近くにいた看護師に伝えると「すぐに準備します」と必要な物品を取りに行ってくれた。

4つほど離れたベッドのそばに耕作が立っていて、彼のすぐ隣に脳外科の西条部長が立ってるのが見えた。

西条先生に何かを言われて、耕作が少し驚いているような表情をしてる。

ポーカーフェイスで感情をほとんど表に出さない人だけど、夫婦なのだからそれでも何となくわかるものだ。

『？』

こちらに気付いた耕作と目が合って、「どうしたの？」と首を軽くかしげると、耕作がこっちに向かって歩いてくる。

「こんなとこで何してる？」

『うん？オペ中の加賀美に患者さんのドレーン抜いといてくれって頼まれたから。』

「そうか。」

一見して妊婦だと分かる程度に目立ち始めたわたしのお腹を見て耕作が何か言いたそうにしてるのが分かる。

『休んでる間に受け持ち患者がいなくなっちゃって。今日はオペも入らず、みんなの雑用ばっかしてるの。』

そう言いながらわたしが軽く片手でお腹を撫でると、耕作が安心したような表情になった。

「その内すぐに患者がくる。ゆっくりできる内に休んでおいた方がいい」

『うん、そうね。職場に心配性な旦那さんがいると大変ね～』

「心配するのは当たり前だろ。」

『本当に心配？」

「ああ。なんだ？」

わたしが上目遣いで見上げている意図を察したのか耕作が聞いてくる。

『さすがにお腹が目立ち始めるとかがむのがつらいの』

「ああ」

『わたしの代わりにドレーン抜いてくれる？』

「はぁそれが狙いか？」

Ns「鬼頭先生、お待たせしました。」

タイミング良く持って来てくれた物品を受け取って耕作に渡す。

『ありがとう、藍沢先生』

何だかんだでわたしに甘い耕作は黙ってドレーンを抜いてくれた。お腹に手を当てながらお礼を言うと軽く耕作ににらまれた。

「子どもを利用するな、卑怯だぞ」

『本当にかがむのが辛いのよ？卑怯ってなに？』

「その頼み方をされると断れないだろ」

『じゃあ、今度からドレーン抜く時は藤川先生に頼むわ』

上の階から冴島さんと一緒にICUを見ていた藤川を指でさしながら耕作に言う。

「なんでそこで藤川が出て来るんだ？」

『耕作が嫌だって言うからよ』

「嫌とは言ってないだろ」

白石「2人ともその辺で・・・」

わたし達の言い合い(？)は白石によって止められた。