How to save a life 2 (ページ17)

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『銃創患者の開胸オペ、前立ちがいないの、やって？』

新海「簡単に言うなよ、脳外以外のオペはもう何年もやってない。」

文句を言いながらも、新海は第1助手のポジションにつく。

『これより弾丸の摘出を始める。テンブレード！』

新海「鑷子、ガーゼ」

『開胸器ください』

新海「これはまた…すごい所で弾が止まってるな』

銃弾は右心房のちょうど洞結節の位置で止まっていた。

心臓は電気刺激で拍動を繰り返している。その電気刺激のスタート地点が洞結節

弾丸が洞結節で止まった事で一時的に電気刺激が麻痺して、病院到着前に心臓が止まったのだ。

『これが受傷後15分で心臓を止めた原因ね。』

新海「下手に取り出せば洞結節を傷付けて、患者の心臓は二度と動かなくなる。百合、どうする？」

手元が狂って少しでも洞結節を傷付ければ、この患者は死ぬ。

『別にどうもしない。広紀、筋鉤で引いて、視野を確保して。』

新海「はいはい。何でもしますよ、女王様」

嫌味っぽく下手に出て筋鉤を手にした広紀を見て思わず口角が上がる。

『どうもありがとう。尖刃ください』

鬼頭は何の迷いもなく、弾丸を取り出すべく心臓にメスを入れていく。

新海「(少しでも手元が狂えばアウトの状態で、相変わらずすごい女だ…手技に一切の迷いがない)」

『弾丸摘出、損傷部位を縫合します。5-0プローリン』

Ns「はい！」

白石「どんな状況？」

心臓の弾丸処置が終わり、大腿のリペア(修復)に入った時に、白石、緋山がオペ室に入って来る。

『心臓の弾丸は取り除いて、閉胸まで終わってる。これが縫い終われば大腿のリペアも終了よ。そっちは？』

緋山「今藍沢と藤川が診てるから大丈夫。」

白石「ICUにベッド押さえてあるから。」

『わかった、ICUね。広紀、もうちょっと糸にテンションかけて』

新海「はいはい。」

ー翔陽大学附属北部病院 ICU ー

新海「はあ、慣れない事するから疲れた…」

『お疲れ様。はい。』

買って来た缶コーヒーを渡すと新海は受け取りながらも文句を続ける。

新海「いきなり呼び出して、銃創の処置に付き合わされるとは思わなかったよ。」

『だって救命に医者は急患が重なってたし。うち(胸部心臓外科)は学会で全員出払ってるし。

思い浮かんだ前立ちがあなたしかいなかったのよ。』