あの日の試合後 ページ1
＊
夏「それで、吹雪くんや塔子さん達は知ってたのね」
『うん、だからサプライズに協力してもらおうと思って』
秋「もう、本当に驚いたんだから。一之瀬君達も知ってたなら教えてくれたら良いのに」
一「ごめんって。でもAとの約束を破る訳にも行かないだろ？」
卒業試合の後の帝国イレブンとの試合も終え、ひと段落ついた時。Aは夏未と秋にこれ迄の話をしていた。
塔子は1度だけイタリアに来た際にお見舞いに来てくれたのだ。その時にサプライズの話になり今回の事もお願いしていた。
そして塔子の提案でもし帰ってくる時は他にも連絡するならした方が良いという事で、秘密を守ってくれそうな吹雪と木暮にも協力をしてもらう。
一之瀬はリハビリのアドバイスをしてもらっていた為、その時に。土門も一之瀬と共に協力してくれたのだ。
土「にしても、来るのが遅かったな」
『あぁ、飛行機の到着が少し遅れたのもあるけど、今日ってどこも卒業式だったからか道が混んでたの。だから遅くなっちゃって。後は兄さんの方向音痴に振り回されて』
秋「兄妹揃って方向音痴なのね…」
苦笑する皆にAは頬を膨らませて“ 違うよ ”と反論する。
『私はまだ軽いよ、兄さんってば右と左も分からないんだもん』
夏「あなたも結構そういう時あるわよ」
『そんなに酷くないってば』
頬を膨らませて言うAとどこか嬉しそうに話す夏未の姿を秋は見つめると笑う。
秋「なんだ、離れてても変わらないのね」
夏「……そうね」
『離れてたって私達みんなの関係が変わる訳じゃないでしょ？暮らす環境が違っても、どんなに離れてても私達が雷門イレブンとして過ごした日々は無くならないから』
一「確かに」
土「だな！」
ふふっと顔を見合わせ笑いあっているとAは名前を呼ばれる。
立「Aさん、久しぶりにシュート打ってくれませんか！」
虎「俺とも勝負して下さい！以前よりも強くなりましたから！」
染「A、俺とも久しぶりに勝負しようぜ！絶対負ける気はしねーけどな！」
『うん！わかった、今行く！』
Aは軽やかな足取りでグラウンドに戻って行く。夏未達はその背中を少し懐かしくも思いながら、見守る。
秋「また会えてよかった」
夏「えぇ」
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作者名：檸檬堂 | 作成日時：2024年3月4日 10時
