16 ページ16
ym side
気付けば目の前に呆れたような可愛い顔。
「はぁ〜、涼介、僕そろそろ呆れていい?」
口から出るのは刺々しい言葉。
今、俺は絶賛登校中。
で、知念に昨日のことを聞いてもらってる。
朝練があるので伊野尾ちゃん達より当然早い登校。
「もう、いくらでも呆れてくれ。昨日の自分を殴りたい」
「そーだよ!涼介がこんなに意気地なしだとは!」
空いてる電車で項垂れる俺に、更に重りになるようなことを言う。
「ちぃちゃん、もうちょっと加減があるとおｍ」
「なんで昨日ビシッと言えなかったの!僕は涼介をこんな子に育てた覚えはありません!」
言うことは可愛いのね(笑)。
「育てられた覚えもありませんから」
「で、今日はいのちゃんに会いに行くの?」
無視か。
「まあ、うん。会ったら謝ろうとか考えてたけど、よく考えたら会う機会ちゃんと無いし」
お昼ごはんも一緒に食べたことないかも。
昼休みも部活で運動があるしな。
「じゃあ、今日がゴールインかな」
「うん…ってはぁ!?」
「今日告白しないの?」
「いや、謝りに行くとは言ったけどさ、そこまでは言ってないな〜」
「意気地なし。いのちゃん可哀想。嫉妬したままで、喧嘩もしちゃって」
今なんて言った?
「嫉妬?誰に」
「裕翔。涼介と仲良いのが気に入らなそうだった」
「知念と仲良いのが気に入らないんじゃないの?昨日も伊野尾ちゃん、知念はいないのー?って」
「僕はせっかくカフェに行ってでも電車を一本遅らせたのに」
「カフェ代俺のだけどな」
「当然。ふたりきりにしてあげようっていう僕の親切心代」
なんだそれ。
伊野尾ちゃんが嫉妬かぁ。
俺も伊野尾ちゃんに嫉妬されたい!
「気付いてないんだね、涼介」
「何が?」
「何でもない、降りるよ」
はーい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 53人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：take a walk | 作成日時：2022年5月9日 18時
