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ym side
「っ、わっ!」
廊下で走り込みをしていたら、ドンッと音がしたあと、特徴的な声が小さく悲鳴をもらした。
なんだろうと振り返ると、裕翔が伊野尾ちゃんとぶつかったみたいだった。
俺らは丁度図書室がある廊下を走っていて、仕事中だった伊野尾ちゃんが出てきたときに裕翔とぶつかったらしい。
その証拠に、あたりには何かの書類や本が散らばっている。
「大丈夫?ごめんね、ちゃんと見ないで走っちゃったから」
手を差し伸べた裕翔に掴まりながら伊野尾ちゃんが返事をする。
「いえ、俺もちゃんと見なかったから…そっか、サッカー部、今日はここで練習か」
「うん」
伊野尾ちゃんと裕翔が一緒に片付けをしているところに手伝おうと思って俺と知念も駆け寄った。
「伊野尾ちゃん、大丈夫?ごめんね、俺がいつも行けないから」
伊野尾ちゃんは、俺が来たことに少し驚きながらも悪態をついた。
「そーだよ、大変なんだからな」
「ふふっ、ごめん」
知ってるよ?俺。
伊野尾ちゃんは優しいからそんなこと1ミリも思ってないんだ。
資料を集めながら少しニコニコしてた。
そうだ、丁度いい。
いいことを思いついて、荷物を全て持ち直した伊野尾ちゃんに言った。
「今日もこの通りの雨だし、できることが少ないから早く帰れそうなんだけど、一緒に帰らない?」
少し待ってもらわなきゃだけど。
「いーよ。約束」
少し微笑んでふわふわと歩いていった伊野尾ちゃんの背中を見ながら、幸せに浸った。
ーーーーーその頃のゆとちねーーーーーーー
「あの子、可愛いよね〜」
「うん。いのちゃんは天使だもん」
「いのちゃん?伊野尾慧のことそう呼んでるの!?」
「友達だよ?」
「へぇ〜、今度俺にも紹介してよ」
「だーめ。いのちゃん、きっとゆーてぃーのこと好いてないもん」
「なんで!?さっき初めて話したのに!」
「秘密。まあ、いのちゃんの恋が成就したら紹介してあげる」
「ケチ。まあいいや、仲良くなったら写真撮らせてもらおーっと」
「ゆーてぃー、それじゃいのちゃんが怖がっちゃうよ…」
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作者名：take a walk | 作成日時：2022年5月9日 18時
