時透兄弟�� ページ34
『ありがとう、カナエ。恩に着る。』
有一郎は意外にも、すぐに蝶屋敷に馴染んだ。
料理も洗濯もこなせる上に、患者の扱いも丁寧で重宝されているらしい。
三人娘たちとシャボン玉遊びをする余裕が無一郎にも見え始めた頃、Aは自室にいた有一郎に声をかけた。
『有一郎くんは、鬼殺隊の隊士になることをどう思う？』
単刀直入な質問に、有一郎は表情を硬くする。
「俺は、やってもいいと思っている。」
意外な言葉に驚くA。
だけど、とすかさず有一郎は続けた。
「無一郎を隊士にはさせない。」
『それは、どうして？』
外から歓声が聞こえた。
きよ、なほ、すみに加えて、無一郎の声も聞こえる。
誰か来たのだろうか。
有一郎はそっと窓の外を伺って、また話し始めた。
「危険だからだよ。決まっているだろ。ここにいたら嫌でもわかる。隊士はすぐに怪我をするし、骨折も何も珍しいことじゃない。胡蝶さんたちは隠しているけど、最悪の事態だってきっと。」
『そうだね。』
Aの頭に、真菰の顔が思い浮かんだ。
いつも笑顔で、さりげなくAを元気づけてくれる真菰。
それから、アオイ、しのぶ、カナエ、義勇、錆兎、実弥、天元・・・。
Aだって、できることなら彼らを戦わせたくなどない。
けれど、そうなれば彼らはどう思うだろうか。
『守られているだけだったら、無一郎君はどう思うかな。』
有一郎は膝の上に置いていた手をぎゅっと握った。
「だったらどうすればいいんだよ。だから無一郎に戦わせろって言うのか？そんな、危険な場所にわざわざ向かわせるなんて俺は・・・。」
『そうだよね。』
Aは有一郎の腰かけているベッドに視線を落とした。
『あのね、無一郎君を、守る対象としてじゃなくて見てあげてほしいんだ。』
そっと顔を上げる。
有一郎と目が合った。
『ここでなら、有一郎君ごと私たちが守れる。だから有一郎君は、無一郎君の一番の味方になってあげてほしい。』
『一度、無一郎君の気持ちと正面から向き合ってみてほしい。それが私の伝えたいこと。』
時間取らせてごめんね。ありがとう。
そう言って立ち上がったAの背中に、有一郎が声を掛けた。
「無一郎と話してみる。」
振り返ると、顔を上げた有一郎の淡い青の瞳が見えた。
「それからでいいだろ。俺は無一郎を隊士にする気はないけど。」
『もちろんだよ。』
Aはふわりと微笑んだ。
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ひかる(プロフ) - 明日香さん» ありがとうございます！今書いている義勇さんの小説の方を完結させてからになりそうですが、この作品もちゃんと完結させる予定なので今後ともよろしくお願いします！ (3月19日 23時) (
レス) @page41 id: 463449c621 (このIDを非表示/違反報告)
明日香(プロフ) - 面白いです。先が気になります。時透兄弟好きです。 (3月19日 22時) (レス) id: 0b98448e7e (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - 廣岡唯さん» しのぶさん私も愛してます。 (2023年4月6日 17時) (レス) id: 463449c621 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - ぴさん» わあ、ありがとうございます！そう言ってもらえたので、更新します！ (2023年4月6日 17時) (レス) @page11 id: 463449c621 (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯 - 面白い続きが観たい…しのぶさん愛しているぞ (2022年11月3日 11時) (レス) @page10 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひかる | 作成日時：2022年6月25日 16時
